浦和が競技の枠を超えた“オール埼玉”の後押しを受け、悲願のリーグ年間優勝を勝ち取る。Jリーグチャンピオンシップ(CS)決勝第2戦、浦和-鹿島は今日3日、埼玉スタジアムで行われる。決戦を前に所沢市を本拠地にするプロ野球西武秋山翔吾外野手(28)、松伏町生まれのプロゴルファー石川遼(25)という、埼玉から世界に羽ばたくアスリートからそろって力強いエールを受けた。クラブW杯(8日開幕、日産スタジアムほか)出場も懸かるだけに、勝って世界の舞台での“共闘”を果たす。

 額ににじんだ汗を拭う手が、ピタリと止まった。浦和DF槙野はしばらく言葉をかみしめると「競技は違っても、アスリートとして目指すものは同じですよね」とつぶやいた。決戦前日。練習を終えた浦和の選手たちの元には、“戦友”からのエールが届いていた。

 西武の秋山は「絶対に勝ってほしいんですよね。一緒に埼玉を盛り上げたいんです」と言葉に熱を込めた。同じ埼玉を本拠地とするチーム同士。個人的な接点もある。昨年、浦和と西武がともに遠征で神戸市内に宿泊した際、ホテルが一緒になった。その時に紹介され、秋山はMF阿部と連絡を取り合いだした。

 阿部は今季、優勝争いをするチームを主将として引っ張る一方、秋山のプレーを気にかけ続けていた。「歴代最多安打記録を作った次のシーズン。想像もつかないようなプレッシャーがあるはず」と思いやっていた。もちろん、秋山も阿部と浦和を気にかける。だからこそ、大事な一戦を前にエールを送った。

 石川遼は今週、昨年優勝した日本シリーズJT杯を戦っているが、浦和へのエールは欠かさなかった。「今年は1年通して、いろんな重圧に打ち勝ってきた。ブレーキがかかりそうなところを耐えて、苦しいところでも勝ってきた。今年の浦和ならできると信じています」と語気を強めた。

 これらを受けDF森脇は「浦和も世界で活躍できるよう、絶対にCSを勝ちたい」とうなずいた。秋山は11月には侍ジャパンに選出され、強化試合全4試合に先発。来年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でもメンバー入りの可能性が高く、活躍が期待される。石川も腰痛による長期離脱から復帰。来年から本格的に世界最高峰の米ツアー転戦を再開する。

 埼玉から世界へ-。その流れに乗り遅れるわけにはいかない。石川からは「浦和の持っている力を出せば、クラブW杯でも決勝まで進めると信じています」と熱い期待も寄せられる。世界の舞台での“共闘”も目指し、浦和が年間タイトルをもぎ取る。【塩畑大輔】

 ◆16年CS決勝の大会方式 ホームアンドアウェーの2試合制。90分で勝敗が決しない場合は引き分け。2試合が終了した時点で勝利数が多いチームが年間王者となる。2戦終了時で勝利数が同じ場合は(1)2試合の得失点差(2)2試合のアウェーゴール数(3)年間勝ち点1位チームの順で決定。敗者が年間2位となる。年間勝ち点1位の浦和は1-0で先勝したことで、第2戦に0-1で負けても優勝。年間勝ち点3位の鹿島は2点以上奪って勝てば、逆転での年間王者となる。賞金は年間優勝が1億円、年間2位が2000万円。