来季のJ1昇格を逃したJ2松本が20日、来年2月下旬にクラブのルーツとなった「喫茶山雅」をオープンすることを発表した。場所は松本城に近い松本市大手で、現在は建築中。クラブのOB、オールドファンにとっては待望の、喫茶「山雅」の復活となる。

 クラブのルーツをひもとくと、1960年代、松本駅前に小さな喫茶店があった。山下忠一(ちゅういち)さんが経営した店は、愛する「山」と「優雅」を合わせた「山雅」という名前。槍ケ岳や白馬岳など、北アルプスに挑戦する登山客が憩いの場としていた。低めのカウンターは5、6席。天井にはランプが数個、香ばしいコーヒーの香りで満ちていた。壁には山の写真や絵画が飾られ、客のリュックやスキーも置かれていた。北アルプスの山小屋と連絡が取れる電話もあったという。

 ここに20歳前後の高校サッカー部OBが集まり、チームを立ち上げる相談をしていた。これに加わった山下さんの協力もあり、1965年(昭40)に「山雅クラブ」が結成された。そして75年に北信越リーグが発足し、クラブが加盟。この年に松本駅前が再開発されたことにより、喫茶店「山雅」は姿を消している。

 今回の「喫茶山雅」の新事業に伴い、クラブは公式サイト上で調理、接客、飲食店事業に携わるスタッフを募集している。この新事業はJ1復帰への起爆剤となるのか、松本は“原点回帰”の総力戦で来季に臨むようだ。