Ｊリーグアウォーズ（年間表彰式）２０１６が２０日、横浜市内で行われ、川崎ＦのＭＦ中村憲剛（３６）が最優秀選手賞を初受賞した。１３年の中村俊輔（横浜）の３５歳を上回る最年長ＭＶＰ。クラブとしても初受賞となった。リーグ戦は年間勝ち点で１位の浦和に２差届かず、チャンピオンシップ（ＣＳ）は鹿島に年間王者を奪われた悔しい１年。年間３位クラブからの“下克上ＭＶＰ”となった。

　ＭＶＰが発表されると、中村は「オ～」と声をあげ、驚きの表情を浮かべた。「周りには素晴らしい選手ばかりでしたし、第１、第２ステージもとっていない。ＣＳも準決勝で負けたので。でもＭＶＰは簡単にとれる賞ではない。フロンターレに関わってくれるすべての人と、家族に感謝したい」。Ｊ１を制した鹿島でもなく、年間勝ち点１位の浦和でもなく、クラブ初タイトルを逃した３６歳が大きなトロフィーを掲げた。

　今季は９得点１１アシスト。チーム最多１５得点の大久保、小林を生かした貢献度も高かった。年間通じての優勝争いに「個人的には久しぶりにサッカーが楽しかった」。中１だったＪ開幕の９３年、カズのド派手なＭＶＰ受賞の演出に憧れ、夢を抱いた。学生時代は無名でも、プロ入り後に実力開花。練習とケアを積み重ね地位を築いた。「大きな体格でもないし、身体能力も高くない。年齢は重ねるもの。だからこそ自分と向き合ってきた。その頑張りが評価されたことかなと思う」。Ｊ１の監督、選手による投票は、鹿島、浦和の選手をしのぐ１４８票で堂々の１位。他チームの選手も認めたからこその栄冠だ。

　クラブＷ杯で躍進する鹿島の姿も目に焼き付けた。「レアルに負けた悔しさを味わえたのは鹿島だけ。あそこに立てなかったことが悔しい。悔しさと、うらやましさと半分半分。来年は１シーズン制に戻るし、ＡＣＬもある」と闘志も湧いた。鹿島、浦和が全員で参加した表彰式。「来年こそタイトルをとって、全員で戻ってきたい」。チームの「シルバーコレクター」を払拭（ふっしょく）するため、大きな励みとなる勲章となった。【鎌田直秀】

　◆中村憲剛（なかむら・けんご）１９８０年（昭５５）１０月３１日、東京都小平市生まれ。都久留米高から中大を経て、０３年に川崎Ｆ入団。同年のＪ２開幕戦、広島戦でデビュー。攻撃的ＭＦだったが、０４年に当時の関塚監督の提案でボランチに転向。０６～１０年に続く、Ｊリーグベストイレブン６度目受賞。０６年に日本代表に初選出され、１０年Ｗ杯南アフリカ大会出場。Ｊ１通算３７３試合５８得点。国際Ａマッチ通算６８試合６得点。１７５センチ、６６キロ。家族は夫人と１男２女。血液型Ｏ。