正智深谷(埼玉)のMF小山開喜(はるき、3年)が3試合連続ゴールで、初の8強に導いた。創造学園(長野)戦でチーム2点目を挙げ、3-0の勝利に貢献。ボランチの小山は中学時代、壁あり5人制室内サッカー「ハーレンフースバル」で対人戦に磨きをかけ、堅守速攻のキーマンになっている。3度目の出場での初勝利から勢いに乗り、明日5日の準々決勝で優勝候補の青森山田と激突する。

 小山が“ドイツ仕込み”の切り替えの早さを見せた。先制後、防戦一方の展開で迎えた前半のロスタイム1分。自陣右サイドで味方がボールを奪い、カウンター攻撃を仕掛けた。左への展開を挟んで、ゴール正面へ走り込んだ小山が、ラストパスを左足で流し込んだ。十数秒で持ち味の速攻が決まり「全国でも守備からやれた」と喜びをかみしめた。

 小山はドイツで盛んな5人制室内サッカー「ハーレンフースバル」で技術を磨いた。四方が壁に囲まれたコート内で、激しいコンタクトプレーもある競技。中学時代に所属した1FC川越水上公園で、かつてドイツ3部クラブの練習に参加した元鹿島の中嶋譲氏(36)に指導を受けた。「結構激しい。球際や1対1では絶対に負けるなと言われた」。壁を利用してのワンツーもあり攻守の切り替えの早さはもちろん、体を寄せられてもボールを失わないすべを体にたたき込まれた。

 それを土台に、堅守速攻を掲げる正智深谷のボランチとして君臨する。チームは県大会5戦で1失点で、選手権でもこの日の完封を含めて3戦2失点。小島監督は「うちの堅守の中心」と信頼を寄せる。小山自身は、3戦連発にも「いつも自分は無得点で、守備だけを頑張っている」とゴールには無関心を貫いた。

 地元埼玉で3発快勝し、いよいよ準々決勝では高円宮杯U-18(18歳以下)チャンピオンシップを制した青森山田と対戦する。相手は2戦10発と好調なだけに、小山は「日本一のチームだが、持ち前の守備からカウンターを」と真っ向勝負を予告した。【秋吉裕介】

 ◆正智深谷 1952年(昭27)創立の私立校。サッカー部は76年創部で部員数は148人。選手権は2年連続3度目の出場。OBに川崎FのGK新井章太、今季から浦和のFWオナイウ阿道ら。埼玉県深谷市上野台369。加藤慎也校長。