ついに、新戦力がベールを脱ぐ。ベガルタ仙台は13日、明日15日に開幕するルヴァン杯の1次リーグFC東京戦に向けて若手を中心に練習を行った。今季復帰した日本代表候補GKシュミット・ダニエル(25)は紅白戦に出場。連戦を考慮し、明日は若手主体で臨むことが予想され、シュミットの今季公式戦初出場初先発が濃厚だ。リーグ戦での定位置確保のためにも、アピールしたい。

 ベガルタでの“初陣”を前に、シュミットは「楽しみにしています。一言で言えば」と淡々と語った。この日行われた仙台大との紅白戦では、仙台の正GKを務めた。明日、復帰後では公式戦初出場初先発が濃厚だが、表情は険しかった。

 今季の個人目標である日本代表入りを果たすべく、まずは開幕スタメン入りを目指していた。だがその座をGK関憲太郎(31)から奪うことはできなかった。これまでのリーグ戦3試合は出場なし。ベンチから試合を見つめていた。「リーグ戦でピッチに立ちたい、立たなきゃいけないのに…。自分はふがいないというか。チームの勝利を願って、ベンチワークをしていた」と言葉を紡いだ。

 渡辺晋監督(43)はシュミットの魅力について「足元の技術、高さ、キックの精度、パワーだ」と説いた。197センチという長身は、GKには大きな利点。攻撃にもつながるフィードも評価する。「彼もJ1という舞台は久々。臆することなくチャレンジして欲しい」。守備に関して、DF陣との連係を深めることを期待する。

 東京は今季これまで、鹿島や大宮、G大阪という強豪と対戦して2勝1敗。シュミットも「誰が出ても、レベルの高いチームであることは間違いない。受け身にならないようにしっかり迎え撃つ。したたかに戦えれば」と気を引き締める。

 もっとも、アピールの場としては最高の舞台だ。明日は18年W杯最終予選に臨む代表メンバー発表の前日になる。東京戦にはルグシッチ、浜野の両代表GKコーチが視察予定だ。大一番へ「いつリーグ戦に出ても、不安はないと思ってもらえるようなプレーを見せられれば」。この座を、ルヴァン杯だけで終わらせる気はない。【秋吉裕介】