J3アスルクラロ沼津が、初めて天皇杯出場を決めた。決勝で藤枝MYFCとの「J3静岡ダービー再戦」を3ー0で制した。前半5分にDF尾崎瑛一郎主将(32)が右足で先制すると、オウンゴールで追加点。後半ロスタイムにMF染矢一樹(30)がダメ押しの3点目を挙げた。東部地区からの天皇杯出場はジヤトコの2001年以来16年ぶり。1回戦は今月22日で、サウルコス福井と対戦(愛鷹)する。

 沼津がライバルを退け、天皇杯切符を手にした。藤枝とは先月25日のリーグ戦では4-1。勝者として迎えたこの日も積極的だった。前半5分、左クロスからのこぼれ球をDF尾崎が右足で押し込んだ。「ゴール前でつぶれてくれたみんなに感謝したい」。気持ちを込めた主将の一撃でリードを奪うと、同9分にはFKからの流れからオウンゴールで追加点。試合序盤で主導権を握った。

 後半は7本のシュートを浴びながらも、粘りの守備を見せた。同ロスタイムには途中出場のMF染矢がドリブル突破から右足で3点目。8日の準決勝に続く2戦連発で「総力戦で戦った結果。みんなの頑張りを無駄にしたくなかった」と振り返った。

 異例の連戦となった準決勝と決勝の2日間をけが人を除く選手で乗り切った。2試合で計21人が出場。準決勝では、今季新加入の元日本代表MF伊東輝悦(42)が初出場するなど、ベテランの力も大きかった。主将の尾崎は「チーム全員で戦うことができた」。試合後はベンチ外の選手も集まり、サポーターとともに喜びを分かち合った。

 東部地区の誇りを胸に天皇杯に挑む。吉田謙監督(47)は「勝ち上がってJ1やJ2のチームと真っ向勝負をしたい」と言った。番狂わせも起こり得る天皇杯は、全国に沼津の名を広げる絶好の舞台。その使命を果たすべく、まずは22日の1回戦に全力を尽くす。【神谷亮磨】

 ◆今年度の天皇杯 静岡県勢は、J1清水と磐田、J3沼津、JFLのホンダFCの計4チームが出場する。清水と磐田は2回戦(6月21日)から登場。昨年、16強入りしたホンダFCは、県予選免除の「ベストアマチュアシード」で出場する。ホンダFCは、1回戦(23日)でびわこ成蹊スポーツ大(滋賀)と対戦。勝てば、2回戦で磐田と当たる。清水はJ3北九州とアルヴェリオ高松(香川)の勝者と対戦する。