北海道コンサドーレ札幌は、昨季年間3位の川崎フロンターレを本拠地に迎え、1-1で引き分けた。1点を追う後半37分、MF荒野拓馬(23)のクロスをFW都倉賢(30)が頭で押し込み同点。今季札幌ドームでは、全4試合でエース都倉が得点。主役の一撃で不敗神話を継続し、強豪相手に貴重な勝ち点1を奪った。J1では、川崎Fから初の勝ち点。次節は22日、昨季年間2位の浦和と敵地で対戦する。

 札幌ドームの主役は、やはり背番号9だった。PKで先制点を許した、わずか8分後。後半37分、左サイドの敵陣深くでこぼれ球を拾ったMF荒野が、ゴール前へふわりとクロスを上げると同時に、187センチの長身が宙を舞った。同点のヘディングシュートをゴール右へ決めたFW都倉は「狙い通りのボールが来て、自分の良さが生きた」。本拠地で4戦連続となるゴールを決め、強敵から貴重な勝ち点1を奪った。

 古巣相手に決めた“恩返し弾”。プロ1年目の05年から08年途中まで川崎Fに在籍した。「自分さえ活躍できれば良いと思っていた」という青い考えは、プロ生活でもまれるうちに「チームのために何が出来るか」へ変化した。精神面だけでなく、技術的にも“気づき”があった。「ストロングポイントの生かし方を、理解出来てきた。得点のにおいがする時は、ゴール幅から離れない。J1で戦っていく上で、ぶれない軸を整理出来た」。札幌移籍後、ストライカーとしての信念を、ようやく見つけた。

 本拠地で都倉がゴールを決めれば、95・8%の確率で、負けがない。5季ぶりとなるJ1で、心強いデータが札幌を後押しする。開幕から本拠地で続く不敗神話の中心には、間違いなく都倉がいる。次節は、2月に行った練習試合で大敗した浦和が相手。「今年一番難しい試合になると思う。向こうは練習試合で勝っていて油断もあると思うから、隙を突きたい」。下克上へ、エースの闘志は燃えさかる。【中島宙恵】