5月14日は母の日。Jリーグのピッチでは、たくましい息子たちが母への感謝を胸に戦った。

 午後2時3分キックオフだった浦和レッズ-アルビレックス新潟戦(デンカS)は、浦和が力の差を示し、5人で5ゴールに、オウンゴールまで加えて6-1で大勝した。

 開始2分で、いきなり先制された。この嫌な流れをFW武藤雄樹(28)がわずか4分後の同点ゴールで落ち着かせた。

 20分にFW興梠慎三(30)の勝ち越しゴールが決まると、興梠と武藤が並んで揺りかごポーズ。満面の笑みの武藤に聞くと、やはり4月28日に生まれた第1子となる長女に贈る、父から初めてのプレゼントだった。

 14分前には、自ら“祝砲”を決めている。しかし「同点で喜ぶのは…。同点でそんなことをしている場合ではないので」と自粛していた。

 勝ち越して、ようやく余裕が。「慎三さん(興梠)に『やってください』とお願いしました(苦笑い)」。先輩の気配りもあり父の喜びに浸ることができた。かわいい娘と愛妻は「DAZN(ダ・ゾーン)で見てくれていると思います」。母になった愛妻に贈る「母の日」の初めてのプレゼントでもあった。

 続いて31分にゴールを決めた日本代表DF槙野智章(30)は「母への感謝の気持ちを出していこうと思ってプレーしました」と胸を張った。ここ最近、眉をひそめるような話題が続いたJリーグだが、ピッチには、プライドをかけて闘い続ける頼もしい息子たちがいる。

 武藤家のために、ひと肌脱いだストライカーの興梠はその1得点だけだった。大勝に「得点王になる人たちは、こういう(大量得点の)試合で2、3点取る。だから、なれないんだ」と自嘲気味なジョークを飛ばした。いかにも興梠らしいコメントだった。こんな息子もまたたくましい。

 お母さん、ありがとう--。Jリーガーにしかできない感謝がある。この記念日にピッチに立てる選手は幸せ。そしてこんな日常、Jリーグがある幸せを感じられる母の日だった。【サッカー担当=八反誠】