7分間で3発!清水エスパルスが、爆発力を発揮して浦和レッズと引き分けた。アウェーで対戦し、2点を追う後半19分、24分とFW鄭大世(33)が連発。FWチアゴ・アウベス(24)も芸術弾で1点を奪い、逆転に成功した。その後、同点弾を許して3戦連続引き分けとなったが、今後に希望をもたらす勝ち点1になった。

 誰も諦めていなかった。2点を追う後半19分、鄭はチアゴからのスルーパスをゴールを背にして受けた。相手DF2人に追いつかれたが、反転で切り返して左足で豪快に決めた。6戦ぶりの得点だった。「1点取れば流れが変わると思っていた。浦和はレベルの違う相手で実力の差は認めても、諦めない精神力が勝負を左右する」。

 5分後にも鄭が決めた。MFデュークのシュートがポストに当たり、GKが取り損ねたボールを左足で押し込んだ。J1での1試合2発は川崎F時代の10年4月以来、約7年ぶりだ。

 同26分には、右サイドでパスを受けたチアゴが、鮮やかにカーブをかけたミドル弾でネットを揺らした。3戦連発で「コースを狙って打って、うまく決まった」。初めてアベック弾が成立し、鄭はチアゴと抱き合って歓喜した。

 2人の出会いは、15年の韓国Kリーグ時代にさかのぼる。鄭が水原、チアゴが浦項に所属していた。対戦して鄭のプレーを覚えているチアゴは「テセは頭の良い選手。ボールを収めてくれるし、やりやすい」と信頼を置いている。5カ国語を操る鄭は、試合中もチアゴにポルトガル語で話しかけるなど、コミュニケーションを欠かさない。「2トップのそろい踏みは大事。チアゴが入ってくれて助かっている」。

 激戦の結果は引き分けで6戦勝ちなし(5分け1敗)だが、今季、浦和から3得点した初のチームになった。小林伸二監督(56)は、赤く染まったアウェーで奮闘した選手たちをたたえて「この勝ち点1は、今後につながる大きなもの」と表現した。3得点は今季チーム最多で鄭は「力があると証明できた。ホームで勝てれば、上位にいける」と手応えを口にした。自身についても「この5試合はつらかったけど、これからドバッといけたら」と言った。次節は27日のホーム横浜戦。上昇気流に乗る時が来た。【保坂恭子】