ヴィッセル神戸がシーズン中に異例の大刷新に踏み切った。神戸市内で17日、スペイン出身のフアンマヌエル・リージョ氏(52)の新監督就任を発表した。吉田孝行監督(41)は事実上の解任でスタッフに配置転換。就労ビザなどの関係上、リージョ氏が指揮を執れるまで林健太郎アシスタントコーチ(46)が暫定監督となる。午前と午後の2回に分けての人事発表、シーズン中に選手全員が参加しての会見など異例ずくめで、目標のACL出場圏3位内へ大なたを振るった。

何がなんでもACL出場圏リーグ3位以内への意気込みが伝わる。神戸市内の高級ホテルでの新体制発表会見は三木谷会長、リージョ新監督、三浦スポーツダイレクター(SD)が壇上。さらにイニエスタ、ポドルスキら全選手が見守った。

異例は会見のスタイルだけじゃない。就労ビザなどの関係上、生じる空白期間を埋める暫定体制が敷かれた。午前10時半に吉田監督退任と林暫定監督就任が発表され、午後3時にリージョ新監督誕生という「2段階会見」も異例。三木谷会長は「勝つだけでなく魅力的な、世界に通じるサッカーを目指している。吉田前監督は一生懸命やってくれたが(目標を)実行してくれるリーダーシップが必要と調査してきた。フアンマ(リージョ監督の愛称)は世界の誰もが知っている指導者。引き受けてくれるとは思っていなかった」。この時期の大刷新については「時間を無駄にしたくない」と言い切った。

リージョ監督について三浦SDは「世界NO・1の戦術家」と評する。元バルセロナ監督で現マンチェスター・シティーのグアルディオラ監督が「師」と仰ぐ。16歳から指導者の道を歩み監督、コーチとして携わったチームはスペイン、南米で17にも及ぶ。三浦SDは「今季はバルセロナのような攻撃的なポゼッションサッカーを目指してスタートした。アジアNO・1の目標があり、目指すサッカーをもっと作り上げてくれる監督と決断した」と説明した。

3連敗で8位後退も3位FC東京とは勝ち点6差。指揮を執り始める時期は未定だが、新監督は「私が言いたいのは選手と歩んでいくこと。私が前に立つのではなく、選手の側に寄り添って進んでいく」と「選手ファースト」の所信表明。残り8戦での思い切った大改革が実を結ぶか。【実藤健一】

◆フアンマヌエル・リージョ 1965年11月2日、スペイン生まれ。16歳から指導者の道を進みスペイン、南米のチームで指導。15-16年シーズンはチリ代表のアシスタントコーチ。16-17年は現セレッソ大阪MF清武弘嗣が所属したセビリアで同コーチを務めた。昨季はコロンビアのアトレチコ・ナシオナルで指揮。愛称フアンマ。