J1浦和レッズの「組長」こと大槻毅ヘッドコーチ(46)が退任することが8日、発表された。この日までに職を離れ、立ち上がった「海外クラブとのネットワーク構築推進プロジェクト」の責任者に「抜てき」の形で配置転換された。

クラブは、プロジェクトの発足理由について「『あらゆる分野でアジアナンバーワン』になるというビジョンを実現し、世界でも活躍するクラブとなるため」と説明。大槻氏を責任者に据えた上で「海外クラブの知見蓄積とネットワークづくり、指導現場における協力関係づくりを進めていくことをお知らせいたします」とした。

中村修三GMも「以前より、浦和レッズがさらに発展していくためには、これまで以上にヨーロッパをはじめとする海外クラブとのネットワーク構築や先進事例を学んでいく必要性を感じていました。そのプロジェクトを担う重要な人材として、今回、指導者としても優秀で実績のある大槻氏を抜てきいたしました。今後、大槻氏は、トップチームから離れることになりますが、その力を新たなフィールドで発揮し、クラブに尽力してくれます」とコメントを出した。

大槻氏は昨年4月2日、開幕5戦勝ちなしの成績不振で解任された堀孝史前監督の後を受け、育成ダイレクター兼ユース監督から暫定監督に昇格した。黒スーツに、気合を入れるためのガチガチのオールバック。北野武監督の任侠(にんきょう)映画「アウトレイジ」シリーズに登場する人物そっくりな風貌で、選手やサポーターから「組長」と呼ばれ、愛された。その、こわもてから発する激情的なコメントはチームを高ぶらせ、一体感を高めた。就任後はルヴァン杯1勝1分け、リーグ戦3勝1分けと無敗。最高の形でオズワルド・オリベイラ監督(68)にバトンを渡していた。その後はヘッドコーチとして前年度の天皇杯を制するなど、尽力していた。