Jリーグは28日、理事会を行い、「八百長未遂」があった日本フットボールリーグ(JFL)の鈴鹿ポイントゲッターズのJリーグ準加盟に相当する「百年構想クラブ」資格を、失格処分にすると決定した。

「百年構想クラブ」資格はJ3昇格への必須条件。来月にはJ3クラブライセンス審査が行われるため、鈴鹿の来季Jリーグ入りの道は絶たれた。再び資格を得るには、今年11月末以降再申請し認められることが必要で、J3入会は最短で24年シーズンとなる。

野々村芳和チェアマン(50)は、理事会後に今回の決定について言及した。「新たな株主がまだ分かっていない中で資格を付与するには、明らかに難しい状況だと理事会でも確認をした。八百長を企てたということは、Jリーグとしてはありえないということ」。

今回の資格停止処分は、さまざまな要件を満たしているか、総合的な判断で決定された。鈴鹿はオーナーが保有する株式を全て譲渡すると発表していたが、新株主との譲渡合意には至っていなかった。また、代表取締役社長の吉田雅一氏以下4名の役員が辞任するなど体制が刷新されたが、新体制も始まったばかりで、適正に運用されるか今後見ていく必要があるとした。

今回の処分対象となったのは20年11月29日のソニー仙台戦。翌シーズン以降のJ3昇格を目指していた鈴鹿は、他のチームに昇格されることを避けるため、クラブ幹部が敗退を指示。監督、選手らは激しく反発し、実際の試合では意図的に負けた様子はなかった。

野々村チェアマンは「Jリーグの目的に反する行為」に厳しい姿勢を見せた一方、選手らの気持ちを思いやった。「選手の夢、選手の家族を考えると非常に胸が痛いが、それを守るのがクラブであるということは、しっかりとリーグとしても考えていかないといけない」。チームは現在JFLで16チーム中10位。首位から勝ち点差6の混戦状態で奮闘を続けていた。

野々村チェアマンは今回の決定後、監督兼ゼネラルマネジャーで運営会社の代表取締役に就任した三浦泰年氏(56)ら、鈴鹿の関係者に電話で伝えたという。 「現場からクラブを生まれ変わらせようとする動きは、この数カ月で尽力してくれたと思っている。クラブとして生まれ変わって、次のチャレンジに向かっていけるように、リーグとしてはしっかり寄り添ってアドバイスしていくスタンスで取り組んで行きたい」。新たな体制で選手が一心にプレーし、夢を追うことを望んだ。

 

◆J3へ昇格(入会)するには (1)Jリーグ準加盟に相当する「Jリーグ百年構想クラブ」に認定(2)J3ライセンスを交付(3)Jリーグ理事会で入会を承認(4)JFLでの競技成績を満たすこと。JFLの最終順位が4位以内で、かつJFLに属する百年構想クラブのうち、上位2クラブに入っていることが要件になる。