「日本サッカー界の生き字引」の功績が、世界に認められた。90歳にして第一線で取材を続けるサッカージャーナリストの賀川浩さんが12日、スイスのチューリヒで国際サッカー連盟(FIFA)会長賞を受賞。英語で「素晴らしい式典に呼んでもらえてこの賞をいただけた。大変誇りに思う」と喜びを語ると、大きな喝采を浴びた。

 国内外で60年以上の取材歴を持ち、ワールドカップ(W杯)の取材は、当時の西ドイツで開催された1974年大会を皮切りに10度を数える。89歳で現地に赴いた昨年のブラジル大会では、FIFA公式サイトに大会最年長記者として紹介され、世界中から大きな反響を集めた。FIFAのブラッター会長とは日本で開催された79年のU-20(20歳以下)W杯(当時は世界ユース選手権)以来の知り合いだ。

 新聞記者時代は野球全盛期。「昔の新聞社でサッカー取材ばかりやっていたら置いてもらえない。本業もしっかりやりながら、サッカーを取材してきた自負はある」と胸を張る。小柄な体に詰まったサッカーへの情熱は、衰えを知らない。賀川さんは「好きでしてきたこと。苦労でも何でもない」と笑顔で語った。○…FIFAのブラッター会長は、会長賞を受賞した賀川さんを「日本やアジアで、サッカーの認知度を高めるのに寄与した。その実績は傑出している」とたたえた。

 壇上では賀川さんがW杯を10度取材し、89歳でブラジルW杯の現場にもいたことなどを紹介。「これほどサッカーに尽くしてくれた人がいただろうか」と感謝の意を表した。