不振にあえぐ浦和FW高原直泰(28)が、福田正博コーチ(41)に教えを請うた。さいたま市で行われた15日の全体練習後、直接指導を要望。約10分間マンツーマンで、ゴール前での動き方などの助言を受けた。リーグ4連勝と波に乗る浦和だが、V奪回やカップ戦制覇、ACL連覇には高原の力が必要。クラブ史上最多得点「91」を誇るミスターレッズも、移籍後いまだ無得点の新エースに喜んで手を差し伸べた。

 日本人得点王コンビが強力タッグを組んだ。全体での練習が終わると、高原が福田コーチに歩み寄る。「ちょっといいですか?」。反対側のゴールに向かった高原は、同コーチからボールを受け、ゴール前での動きを直接指導された。ときおり動きを止めて、身ぶり手ぶりでの指導に耳を傾け、それを何度も繰り返した。約10分間、個人レッスンは続いた。

 募る危機感が高原を突き動かした。3月の日本代表中東遠征をはさんで、これまでリーグ戦4試合に先発出場しながら無得点。「焦りはない」と、常に言っていたエースも、前日14日には「FWなんで結果を出さないと。監督も使いづらくなってくる」と、珍しく不安を口にしていた。

 福田コーチは「戦術的、個人的なことは言えないが、シュートまでの動きだしを確認した」と話した。同コーチは高原にとって同じFWとして、なによりストライカーとして共感できる存在だった。高原は02年のJ得点王。その7年前の95年、日本人として、初めて得点王に輝いたのが「ミスターレッズ」だった。

 福田コーチは日本人としては数少ないストライカー出身の指導者だ。昨年12月のS級コーチングライセンス認定式では「自分のキャリアは、人にはない武器だと思っている。でも、説得するのではない。納得させないといけない」。高原が福田コーチに求めたものも、点取り屋同士にしか分からない感覚だった。

 この日のミーティングで高原と直接話したもようのエンゲルス監督は「1点入れば変われる。僕は(それまで)我慢できる」と言った。16日はナビスコ杯京都戦を前に、高原は「試合前なんで」と言葉少な。ミスターレッズの助言と気迫を取り込み、今度こそ移籍初ゴールだ。【栗田成芳】