<J1:大宮3-2G大阪>◇第9節◇30日◇万博

 大宮が“樋口マジック”で劇的勝利を決めた。G大阪を相手に2度リードを許しながら、樋口靖洋監督(46)の采配がズバリ的中。試合残り6分間で2ゴールを決め土壇場で逆転した。最近5戦で3勝2分けで、首位浦和との勝ち点差は4。昨季残留争いをしたチームが、一気に上位陣に食い込んだ。

 驚くほど的中した。再び先行され、後半27分。前節にけがから復帰したばかりのMF藤本を樋口監督は投入した。その藤本が同39分に左足で同点弾を突き刺すと、その5分後にはFKからアシスト。逆転弾を決めたのも、試合終盤から今季2度目の出場を果たしたFW森田だった。

 「最後まで勝ち点3を目指そうという姿勢を忘れなかった」と樋口監督。狙い通りだった。ACLに出場中で、過密日程に疲労の濃いG大阪は、終盤に失速すると踏んでいた。予想通り相手の足が止まったところで、フレッシュな攻撃陣を投入し、その選手らが試合を決めた。

 「体力的にはアドバンテージはウチにある。最後でそれを生かせられた」と喜び、「びっくりするくらい当たった」と驚いてみせた。06、07年と4戦全敗していたG大阪に3年ぶりに勝った。順位は前節と同じ6位のままだが、勝ち点15で首位浦和との差はわずか4。昨年は降格のピンチに陥り、J1では優勝争いの経験が1度もないチームが、樋口マジックで新風を吹き込み始めた。【栗田成芳】