川崎FのFW我那覇和樹(27)がドーピング規定違反の取り消しを求め、スポーツ仲裁裁判所(CAS)にJリーグとの仲裁を申し出た件の聴聞会が1日、終了した。前日4月30日から、11時間にも及んだ聴聞の結果は2~3週間後に出る予定。我那覇は「悔いはない。処分は取り消されるべき」と力を込めた。

 昨年4月に受けた静脈注射が正当な医療行為だったことを証明したい思いから、我那覇は第3者機関による仲裁を求めた。英語で行う聴聞会のため、通訳費用などの実費だけで1500万円かかり、弁護士費用が加算されると費用は数千万円にのぼるとみられる。選手会やサポーターの募金は約700万円集まったが、当初求めた日本スポーツ仲裁機構への申し立て費用が5万円であることを考えても、負担は甚大だ。

 ただ、そこまでしても訴えたい理由があった。「僕と同じ気持ちになる選手が出てはいけない」。日本スポーツ界全体を考えた行動でもあった。聴聞の最後には英語で「サッカーを裏切ることはしたくない。最近、選手になりたいと言った4歳の息子のためにも」と訴えた。「いい結果が出るのを待ってます」。我那覇の長い戦いが、ようやく1つの節目を迎えようとしている。【村上幸将】