サポーターの客足が伸びていないけど大丈夫?

 コンサドーレ札幌を運営する北海道フットボールクラブ(HFC)は、リーグ戦の1試合平均動員数を1万9529人(札幌ドーム開催は2万5000人)と見積もり興行収入予算を組んでいる。だが、ここまでの5試合平均は1万6881人、チームが17位に沈んでいることもあり苦戦が続いている。12日にはサポーターズ持ち株会が債務超過解消のための増資として1億1568万円を集めたと発表し、緊急の大型補強を訴えた。08年度の経営見込みは?

 補強の可能性は?

 児玉芳明社長(71)に直撃した。

 黄金週間が始まった4月26日、新潟戦の札幌ドームには空席が目立った。観客は1万3055人。目標の2万5000人を開幕戦では達成したが、その後の4試合は大きく下回っている。現状のペースで単純計算すると、興行収入は予算6億8000万円に対してマイナス2億円。う~ん、大丈夫なのか。HFCの児玉社長、佐藤邦興専務に直撃した。

 児玉社長

 確かに想定より伸びていません。J1だった01年のドーム元年は、ツアーなどもあり2万人超。今年はそれより低く見積もりましたが、日本ハムさんの移転などは多少、影響しているかもしれません。今年は桜の開花が早く、新潟戦は花見時期にぶつかった側面もある。ただ、平均単価は昨年の1人1500円が、2000円弱になっています。

 佐藤専務

 昨年は1試合平均3000~3500人の招待券入場者がいたが、今年は有料のお客さまがほとんど。単純に予算3割減ではありません。

 確かにシーズンシートは好調で、札幌ドームは前年比35%増、厚別競技場とのセットも15%増。だが、5月下旬に3月分が明らかになるシーズンシート以外の実券売り上げは、予算割れが確実な状況だ。

 佐藤専務

 現在、社内で緊急の集客対策会議を開き、アイデアを精査しているところ。7、8月のホームゲームなどに、その企画を実施します。

 08年度は是が非でも収支を黒字にしたい理由がある。Jリーグは札幌が1億9208万1000円の債務超過を解消することを約束したことで、J1昇格を認めた。クラブは今年12月の決算までに資本金の約80%を減資し、約3億円を増資する形で債務超過を解消する。08年予算を9774万円の単年度黒字とし、減増資後の資本金から当期未処理損失(累積赤字)を引いても2億566万円プラスとしていた。裏返せば、単年度収支が1億円以上赤字になれば、再び債務超過に陥りかねない。

 そこに、チームが現在、J2降格圏内に低迷するという逆風が吹いた。増資内訳で最多額のサポーターズ持ち株会はこの日、クラブに緊急の大型補強を求めた。この日会見した佐藤良雄理事長は「もともと増資分は強化費と思っている。6日の東京V戦を観戦した(5000万円出資する)ニトリの似鳥昭雄社長とも、早急に強化をお願いする点で一致した」と説明。「経営はクラブが考えること」とした上で「今季は特別。単年度黒字よりJ1残留の優先順位が上」と訴える。

 児玉社長

 持ち株会の気持ちは分かっていますが、今のところ現場から(補強については)上がってきていません。W杯中断前のリーグ戦、ナビスコ杯を終えてからの判断になるのだろうと思います。

 佐藤専務

 債務超過解消のために減増資して、またすぐに債務超過にはできませんから。

 開幕から08年度予算ベースで収入が伸びない中、支出を膨らますのは…。児玉社長、佐藤専務の言葉からは、そんな苦悩が透けて見えた。かねて「サポーターがいなければ、つぶれてしまうようなチーム」とやゆされた札幌。ピッチの選手を奮い立たせるのも、チーム強化の緊急補強を実現させるのも、興行収入に直結するサポーター頼みになりそうだ。【札幌取材班】