<J2:仙台2-1鳥栖>◇第25節◇9日◇ベストアメニティスタジアム

 J2仙台が、今季3度目の逆転勝ちを収めた。1-1の後半27分、途中出場のMF飛弾暁(24)がPKを獲得。これを主将のMF梁勇基(26)が冷静に決めて逆転した。前半ロスタイムに先制点を許す苦しい展開だったが、苦手としていたアウェーも3連勝で順位を4位に上げた。

 鳥栖の足が止まった瞬間を、ベンチは見逃さなかった。手倉森監督が「流れを変えてこい」と飛弾を送り出す。後半12分。ここからベガルタの攻撃のリズムが一気に加速した。FW田中と交代した飛弾の動きに、相手が翻弄(ほんろう)された。6戦ぶりのベンチ入り、そしてピッチに立てた喜びを「十八番」のドリブルに込めた。

 1点ビハインドの同19分だ。左サイドから仕掛ける飛弾を、我慢できずに相手がファウル。このFKをDF岡山が頭で合わせて同点に追いつく。そして、その8分後。最終ラインの背後に飛び出した飛弾がドリブルでペナルティーエリアに入った瞬間、鳥栖DF日高にユニホームをつかまれて倒れた。“殊勲”のPKゲット!

 これを決めた梁と飛弾は抱き合って喜んだ。「ここ何試合が(ベンチに)入る、入らないということで、悔しい思いをした。思いっきりプレーすることだけを考えた」。全得点に絡んだことを、飛弾は喜んだ。

 この日の逆転勝利は、今後を占う上でターニングポイントになるかもしれない。ここまで、先制された9試合は、2勝2分け5敗。逆境に立たされた時の、精神面の弱さが数字に出ていた。苦手としていたアウェーも、これで3連勝。試合をひっくり返すという精神力、リードを保つ集中力は最後まで途切れなかった。

 第2クールで勝ち点を伸ばせず、モヤモヤを抱えていた。この試合を落としていればズルズル後退-という流れになっていた。逆転勝ちという結果で、上昇気配も感じる。「一進一退のいいサッカー」(手倉森監督)を継続できれば、さらに上位にいける。【山崎安昭】