“夏男”が窮地を救う。コンサドーレ札幌は17日、札幌ドームで京都と対戦する。出場停止が明けて2試合ぶりに復帰するFWダビ(24)は、昨季7、8月の9試合で5得点、今季も7月の5試合で5得点と、夏場に無類の強さを誇っている。チームは4月12日磐田戦の勝利を最後に、ホームで3分け4敗と勝ちがない。前節まで最下位の千葉は16日、柏と引き分けた。負ければ最下位に転落する京都戦で、エースはゴールとともに127日ぶりホーム白星をサポーターに届ける。

 2試合ぶりのピッチへ、ダビに慢心はなかった。京都戦前日の16日、チームは札幌・宮の沢で最終調整を行った。セットプレーの守備で全体練習が終了したが、エースはピッチに残った。GK佐藤を相手にFK、PKなど約20分間蹴り、感触を確かめた。「個人的にはコンディションが良いが、みんなのサポートのおかげ。J1残留の可能性がある限り、僕たちは戦わなければいけない」と意欲を口にした。

 昨年は夏場に結果を残した。今年も7月から絶好調だ。来日後、J2時代を含め出場54試合で26得点は90分間平均得点0・50点となり、2試合1得点ペースになる。しかし、7、8月は90分間平均0・73点となり3試合で2点以上に跳ね上がる。だが「冬が好きで、夏の暑さは実は苦手」(ダビ)。もともと器用な方ではない。ダビ自身は「調子が上がったように見えるのは、チームにフィットするのに時間がかかるからなのかもしれない」と分析している。

 昨季J2で結果を残したが、J1でどうかは未知数だった。だが持ち前の突破力で7月にゴールを量産し、前節終了時点で9得点、ランキングで4位につけている。札幌はJリーグが1、2部になる前の98年を含め3シーズンJ1で戦っているが、残留できたのはFWウィルが得点王を獲得した01年のみ。三浦監督は「日本人の間合いに慣れたのもあるが、ダビはJ1で通用する選手になった。得点王を取るかもしれないな」とチーム2人目の得点王誕生を期待。ダビも「もちろん狙っていきたい」と明言した。

 今季ダビ出場の15試合は4勝4分け7敗と、5割以上の確率で勝ち点を取っている。チームの連敗が止まった4試合中3試合でゴールも決めた。一方で欠場した5試合は全敗と、存在感の大きさは際立っている。この日の練習後は、夏バテに効くといわれる氷を入れた水風呂に入り、体調を整えた。「得点を取ればJ1残留に近づくし、僕は残留できると思っている」。低迷を続けるチームには、ダビのゴールが一番の良薬になる。【上野耕太郎】