スポーツ界の異色コラボレーションが実現する。日本サッカー協会が展開するJFAアカデミー福島(田嶋幸三スクールマスター)の生徒が、10月11日から13日までの2泊3日の予定で、大相撲の部屋に”出げいこ”することになった。JFAの生徒に同年代の力士が関取を目指し切磋琢磨(せっさたくま)する姿を見せ、広い視野をはぐくむため。相撲界も快く応じ、サッカーと相撲が若年層での交流をスタートさせる。

 中学3年の15人が6部屋に分かれ、若手力士の実生活を体験する。受け入れを快諾した高砂親方(元大関朝潮)は言う。「お互いのことを知ることでサッカー界も相撲界も向上すればいい。それが交流に役立てばなおすばらしい」。当日はまわしを締め、Jリーガーの卵たちに胸を出す予定。まさに百聞は一見にしかずの、貴重な時間になる。

 初日は福島から都内への移動があり朝げいこはできないが2日目、3日目は早朝4時ごろに起床、掃除、朝げいこ、ちゃんこ番、後片付けと、力士と同じ生活を送る。サッカー協会の担当者は「まわしを締めてけいこもするし、ちゃんこ番もして給仕もやらせたい。同年代の力士がやっていることを経験し、相撲界の伝統、しきたりに触れさせたい」と、体験入門に期待を込めた。

 相撲界は不祥事が続いているが、同じスポーツ界の次世代育成に協力は惜しまない。サッカー協会の担当者が相撲協会を訪ね実施が決まると、行動は早かった。現理事長の武蔵川部屋(師匠=元横綱三重ノ海)、九重部屋(元横綱千代の富士)、貴乃花部屋(元横綱貴乃花)、玉ノ井部屋(元関脇栃東)、千賀ノ浦部屋(元関脇舛田山)の名門部屋が受け入れに賛同するなどスピーディーに対応。若者の交流に積極的な姿勢を見せた。

 サッカーと相撲では、練習(けいこ)の環境や風習はまるで違う。ただ、角界も厳格な礼儀作法で人間形成に重点をおいており、理念の面ではサッカーだけでなく人間的な教育、論理的思考を柱に据えるJFAアカデミー福島と共通する部分もある。競技の枠を超えて次世代育成に取り組むチャレンジが注目される。