<天皇杯:広島1-0東京V>◇4回戦◇2日◇西が丘

 東京VのJ1残留争いに暗雲が立ち込めてきた。広島戦の前半44分、MFディエゴ(24)が広島ストヤノフを押し倒し、レッドカードにより退場処分を受けた。エースを欠いて攻撃の形をつくれず0-1の完敗。ディエゴは既にJ1で累積警告により2試合の出場停止処分を受けており、この日の退場により3試合への増加が決定。現在14位のチームは、厳しい戦いを余儀なくされる。

 あまりに痛いレッドカードだった。前半44分。接触プレーに怒った広島ストヤノフが突進してくると、ディエゴも臨戦態勢で立ち向かい、押し倒した。家本主審は迷わず赤いカードを掲げ、ディエゴは1発退場となった。司令塔の退場でチームは攻撃の形がつくれず、4大会連続となる初戦敗退を喫した。退場余波は、それだけにとどまらない。正念場を迎えるJ1の残留争いでも、厳しい戦いを強いられることになった。

 すでにディエゴは、警告の累積により2試合の出場停止処分を受けていた。この日の退場によって3試合への増加が確定。もしも規律委員会に悪質と判断されれば、残り試合と同数の4試合以上に増える可能性もある。いずれにせよ、今後はチーム得点トップ(11得点)のディエゴに頼れない。ダメージは計り知れない。

 ディエゴも責任は痛感していた。試合後は「クラブとサポーターに謝りたい。カッとすべきではなかった。自分のプレーは本来こういうものじゃない。反省して出直したい」と、すっかり気落ちしていた。田中強化本部長は「かなりショックを受けている。本人は(ストヤノフに)近づいたら倒れたと言っていたが、挑発への報復行為と取られた」。チームとすれば、3試合で済むことを願うしかない。

 柱谷監督は「ディエゴの退場でプランが狂った。1人少ない中で何とかしのいでいたが、最後にやられるのは力がない」と敗戦を振り返った。ディエゴ不在となる今後の戦いについては「もともと2試合は出られなかったし、ディエゴ抜きで戦うプランは、ある程度できている。日本人選手だけで戦うことになるが、その良さを引き出したい」。名門クラブが、わずか1年で再び降格するわけにはいかない。ここからは、残った選手による意地の戦いになる。【飯島智則】