福岡が、J参入後初の助っ人ゼロ危機に陥った。クラブは22日、MFウフク・タレイ(32)の来季移籍を発表。DFマーク・ルダン(33)も退団が決定的だが、代わりの外国人獲得には動いていない。田部和良GM(46)は「人件費が圧縮されるので、外国人の契約更新は難しい。来季は(外国人選手が)いない可能性もある」と、J2でも異例の純国産体制を示唆した。

 タレイは今季、リトバルスキー前監督(48)が中盤の中心選手として、オーストラリアAリーグ・シドニーFCから加入させた。7月の監督交代後も出場を続け、現在36試合5得点だが契約更新せず、Aリーグに来季から参加するノース・クイーンズランド・フーリーへ移籍が決まった。

 その背景には福岡の財政難がある。今季は12億円規模の運営予算を組んだが、ユニホームの胸スポンサー撤退などが響き、株主を中心に約1億円の緊急支援を要請した。しかし目標額に届かず、9月に遊技機メーカー大都技研による増資を受けて補てん。「増資分がないことを考えると、来季予算は今季の8割くらい。同じ割合でなくても人件費も減る」と田部GMは危機感を見せた。

 福岡は昨オフ、16選手を放出して9選手を獲得し、現有戦力は25人(特別指定の大学生選手を除く)。これ以上、人数を絞るのは難しく、比較的、年俸の安いオーストラリア人選手も生活面の付帯費用がかかるため、切らざるを得なくなった。田部GMは「監督交代後の成績を考えると、外国人がいなくても、現有戦力に少しプラスできれば昇格グループに入れるだろう」と苦しい見通しを立てた。来季も続投する篠田善之監督(37)には、戦力構想を練る前に資金削減という壁が立ちはだかることになった。