鹿島DF内田篤人(20)が29日の磐田戦でリーグ連覇と最年少ベストイレブンDFの座を手繰り寄せる。優勝に王手のかかる今節は、12月のJリーグアウォーズで発表されるベストイレブンの投票締め切りの節でもある。内田が選ばれれば、99年中沢の22歳での受賞を塗り替え、DFとしては史上最年少。磐田戦で勝利を決定づける働きを見せて、2つの栄冠を狙う。

 リーグ連覇へ王手のかかった状況でも内田に気負いはなかった。鹿嶋市内で行われた前日の最終調整でも笑みは絶えなかった。「今は心に余裕がある。切羽詰まることはもうない」。まだプロ3年目だが、鹿島でも日本代表でも数々の修羅場をくぐり抜けたことで、平常心を保てていた。

 チーム12冠目となるリーグ優勝、そしてベストイレブン(11)の座も見えている。J1各クラブの監督、選手による投票は今節で締め切られる。昨年は最終節で初めて首位に立っての優勝。最終節前までの鹿島イレブンの印象は低く、優勝チームにもかかわらずベスト11はDF岩政の1人だけ。岩政が「複雑ですね」と壇上で漏らすなど、異例の事態だった。

 内田は今季リーグ戦23試合に出場。故障や五輪出場もあり9試合を欠場して「あまり活躍したという印象はない」と振り返る。だがオリベイラ監督は「個人名を挙げるのはあまり好きではないが、今年明らかに成長したのは内田だ。彼が伸びた部分は大きい」と高評価。レギュラーに定着した岡田ジャパンでの活躍も鮮烈で、票が大きく動く可能性は十分にある。20歳で受賞となれば99年のDF中沢(当時V川崎=現横浜)の22歳を抜いて史上最年少だ。経験が求められるDF部門では「偉業」といえる。

 内田の心の中では優勝が最優先。「最年少は知らなかった。でもベスト11は自然とついてくれればいい。マルキーニョスに得点王を取ってもらいたい気持ちの方が強い」と同僚の援護射撃も誓った。決戦を前に「磐田も残留争いをしているので簡単な試合にはならない。でもうちは勝つことを考えればいい」と意識を高めていた。【広重竜太郎】