<J2:C大阪2-1愛媛>◇第45節◇6日◇長居

 今季限りで引退するMF森島寛晃(36)は後半ロスタイムに30秒間プレー。試合後の引退セレモニーでサポーターに別れを告げた。

 森島の、長く苦しいリハビリが報われた。後半ロスタイムにMF香川に代わり、ピッチに立った。前田主将から渡されたキャプテンマークを左腕に巻く。左サイドでボールをキープすると、スタンドがどっと沸いた。わずか30秒のプレーで、ボールタッチは2度。それでも「最後はピッチで終わる」という夢を果たせ、モリシは満足そうな表情を浮かべた。

 森島

 実は、また抜きを狙ったんですよ。本当に楽しくできた。今、夢の舞台がひとまず終わった。

 昨年3月に悪化した首痛は、何度検査しても原因が分からなかった。今年の春には東欧の医者に「腸が悪い」と言われ、わらにもすがる思いで腸内洗浄までした。半年間は月に2度ほど、東京までハリ治療にも行った。だが、治らなかった。首の痛みを我慢し、執念だけでピッチに立った。

 昨年も1度は引退を決意した。だが、今年1月に長女優衣ちゃんが誕生することで、現役続行を決めた。「子供に試合を見てほしい」。あてのないリハビリの支えとなった。引退セレモニーで友香夫人と愛娘から花束を渡されると、少し目が潤んだ。「近い将来J1に戻り、そして優勝する。自分にとって、新しい夢がまだ続きます」。最後はいつもの人なつっこい笑顔で言った。

 仲間の手で背番号に合わせて8度宙を舞い、スタンドからの大歓声に応えて選手生活に別れを告げた。次はC大阪監督でJ1優勝。モリシが新たな目標に向かって再び動き始めた。【奈島宏樹】