名古屋FW杉本恵太(26)が26日、中部国際空港着の航空機でポルトガルでの「武者修行」から帰国した。現地では2部ボアビスタの練習に参加。トップチームで実戦形式のメニューもこなし、レベルの高い欧州でも自慢のスピードが通用するという手ごたえを得た。初参戦のアジア・チャンピオンズ・リーグ(ACL)で各国の強豪と戦う09年の開幕を前に、内容の濃い10日間で大きく成長して帰ってきた。

 杉本の顔つきが、充実の10日間を証明していた。単身出発した17日は緊張感につつまれ、こわばっていたが、この日の到着ゲートにはトレードマークの笑顔で現れた。「短い間だけど、これまでこんなに濃密な時間を過ごしたことはなかった」と異国での充実した日々を振り返った。

 ポルトガル2部のボアビスタで計5日間、練習に参加した。今季は2部だが、理由は4シーズン前の審判買収疑惑に絡みリーグ規律委員会から勝ち点をはく奪されたための降格。00-01年にはリーグを制し、翌01-02年には欧州最高峰の舞台チャンピオンズリーグにも出場した強豪だ。

 シーズン真っ盛りの欧州で、ミニゲームや紅白戦にも参加。計3ゴールを決め、首脳陣からも高い評価を得た。「スピードも行けるな、と思った。なかなか経験できないことだし、自信になった」。自慢の快足が、十分に通用するという手ごたえをつかんだ。

 ピッチ外でも貴重な経験をした。公式戦も観戦し、同国1部の強豪FCポルトで活躍するFWフッキ(元川崎F)とも対面。「フッキは日本語で『ゲンキ?』って言ってましたよ」。複数の現地メディアから取材も受け、新聞にも掲載されたという。

 家族をだれよりも大事にする杉本だが「今回は遊びに行ったんじゃないんで、土産はありません」と手ぶらでの帰国。今季名古屋サポーターを沸かせることが、何よりの“ポルトガル土産”となる。欧州で磨かれたスピードが、アジアに打って出る今季の名古屋の大きな武器となる。【八反誠】