コンサドーレ札幌が“最悪の状況”を想定し始めた。MFクライトン(31)が前所属のアトレチコ・パラナエンセに復帰する可能性が出てきたと、同チームのHP上に掲載された問題について27日、札幌の矢萩竹美社長(58)が言及した。アトレチコ側からの正式オファーこそないが、クライトン自身が迷っている状況と説明。合流の見通しは依然立っておらず、退団の場合にも備えることを明かした。

 突如持ち上がったクライトンの去就問題から一夜明けた27日、矢萩社長の口から、クライトンの悩める胸中が明かされた。

 矢萩社長

 強化部が毎日連絡を取っているが、迷っている状態。心臓病の父の状態を見ている中で、ブラジル国内でプレーした方がいいという気持ちもあるようだ。

 グアムキャンプ開始からすでに1週間。いまだ合流の見通しは立っていない新10番について、そう現況を説明した。

 昨季に続き、今季も札幌との契約を更新したクライトンだが、J2でのプレーに消極的だったという事実は、複数の関係者が証言している。そんなわだかまりに加え、古巣から受けたラブコールに、心が揺らいでいるのは確かだ。

 ただ札幌側も、今季の核を失う事態を簡単に許す気はない。矢萩社長は「アトレチコからクラブに対して正式オファーは来ていないし、うちには契約がある」と言うように、今季は札幌の一員としてプレーすることを強く望んでいる。ただ本人から「札幌でプレーしたい」という思いがうせてしまっては、引き留めても意味はない。退団という最悪のシナリオも、想定はしている。同社長は「うちとしてはどんな状況になってもいいように準備はしていく」と、新たな外国人どりも視野に入れている。

 仮に合流できたとしても、矢萩社長が「グアムでできるか分からない。(2次キャンプ地の)熊本からという可能性も」と説明するように、石崎新監督の下、1からのチームづくりを進める中では、プラス要素とならないのは確実。昨年、7日で退団したアルセウ騒動から1年、またも札幌に難局が訪れている。