<練習試合:札幌1-0大宮>◇2日◇グアム◇30分×3本

 【グアム2日=永野高輔】石崎札幌、白星発進!

 コンサドーレ札幌はJ1大宮と今季初の練習試合を行い、FW横野純貴(19)のゴールで1-0と勝利を収めた。終始主導権を握り、右サイドバックで起用された藤田征也(21)が積極的に攻撃参加するなど、石崎信弘監督(50)が目指す「積極的にボールを奪って仕掛けるサッカー」を早くも実践した。新加入のFWキリノ(24)も横野のゴールを“アシスト”と、攻守とも今季に期待を抱かせる勝利となった。

 札幌の新たな攻撃が、初実戦で早くも形になった。1本目30分、左サイドでボールを奪ったMF上里が、右サイドを駆け上がった藤田へロングパスを出す。空いていたスペースへ藤田が俊足を生かし駆け上がり、フリーで中央へクロスを上げた。走り込んだFW宮沢のヘディングシュートは惜しくもゴール左へこぼれたが、石崎監督は大きな手応えを得ていた。

 「スナ(砂川)が中に絞るとセイヤ(藤田)の前にスペースができる。いい形だった」。相手ボールを奪ってからわずか2本のパスでシュートまで持っていく。攻守ともスピードアップを図る石崎監督の教えが、しっかり実践された。

 昨季は左からの押し上げが多かったが、今季はチーム屈指の速さを誇る右サイドバック藤田が新たな武器になる。1本目終了後、指揮官は「右サイドで攻撃の起点をつくるように」と指示を出した。もくろみ通り、藤田のアーリークロスにFW横野が反応して得点が生まれた。「ジュンキ(横野)が空いているのが見えた」と藤田。まだ初戦ながら、J1相手の実戦で結果を出した。守備練習重視で取り組んできた中だけに、選手にとっても手応え十分の勝利となった。

 昨季崩壊した守備陣も無失点と奮闘。センターバックの柴田は「後ろから見ていて、前線の選手がすごく動いている感じがした」と振り返る。石崎監督が目指すのは「チャレンジ&カバー」。厳しいプレッシャーとカバリング動作を繰り返すサッカーは疲労が懸念される。しかしグアムに来てからの徹底したトレーニングで、それにも十分耐えうる運動量が培われていることを示した。

 DF趙が右もも裏の張り、MFダニルソンも左内転筋の張りで出場回避した中での白星。「次は趙、ダニルソンが入ってどれだけできるか。そこでクライトンが入ってくれたらまた面白くなる」。石崎監督の自信の口ぶり通り、09年札幌の伸びしろはまだまだある。