札幌の超攻撃的サイドバックが、ピッチに帰ってくる。コンサドーレ札幌は16日、キャンプ地の熊本県内で韓国Kリーグの浦項スティーラーズと練習試合を行う。右太もも裏を痛めていた藤田征也(21)が、右サイドバックで戦列復帰する。昨季は守備的だった右サイドだが、速さを生かした攻撃力が武器の藤田が入り、攻撃的サイドに生まれ変わる。日本代表でも活躍する鹿島DF内田篤人(20)ばりの前に位置するディフェンダーとして、札幌の新たな武器となる。

 久々の実戦を前に、藤田が完全復活をアピールした。15日に熊本・KKウイングで行った練習では右サイドを力強く駆け上がり、好クロスを何本も送った。グアムで行われた2月2日の大宮戦後、右太もも裏の張りから2試合、ピッチに立てなかった。久々の実戦に「攻撃面でどんどん良さを出していきたい」と前での勝負を誓った。

 藤田の存在が、今季の札幌の新たな形になる。16日の試合でも入る右サイドバックでの起用を、石崎信弘監督(50)は第一に考えている。「攻撃面では、前でやるときより、自分の良さが出せると思う」。そう自らを分析する通り、利点は多い。

 速さが最大の武器の藤田だが、昨季まで主にプレーした右サイドハーフでは、最も得意とする縦への突破が鳴りを潜める試合が少なくなかった。100メートル11秒台で走る俊足を持つが、スタートダッシュより、加速力のあるタイプ。右サイドハーフでは最大加速するまでに至らない場面も多かった。「距離があった方がいいと思う」と言うように、駆け上がる距離が長いサイドバックの方が、より持ち味を生かせるのは確かだ。

 昨季の札幌は右サイドバックの攻撃参加は少なかった。しかし今季は違う。藤田が頭に描くのは、代表でも活躍する鹿島DF内田の存在。「タイプ的には同じだと思う。僕もディフェンスより攻撃で良さを出さないと、サイドをやっている意味がない」と内田ばりに前めに位置し、攻撃していく姿勢でいる。周囲との連係やカバーなど、ディフェンスとしての課題は忘れていないが、持ち味を消すつもりはない。

 少しつまずいた格好にはなったが「足も問題ないし、疲れもまったくない」と言うように、状態はむしろ上向いた。札幌の新しい武器となるため、今日からピッチを上げていく。【砂田秀人】