<練習試合:磐田2-0鳥栖(第1試合)磐田1-1鳥栖(第2試合)>◇18日◇鹿児島・鴨池陸上競技場

 J1磐田に新加入したDF那須大亮(27)が、移籍初ゴールを決めた。鹿児島キャンプ最終日に行われたJ2鳥栖との練習試合で、セットプレーから頭で先制弾を突き刺した。守備でもハードマークで相手の攻撃を封じ、2-0の完封勝利に貢献。高校まで生まれ育った地で原点回帰し、攻守で勝利の原動力となった。なおチームはこの日、同キャンプを打ち上げ19日からは、清水とのプレシーズンマッチ(21日、日本平)に向けて調整していく。

 今度こそ、正真正銘の移籍初ゴールだった。前半7分、右CKマーク付近からのFK。MF太田のキックを、相手DFの頭上を大きく越える高さから頭で合わせ、ゴールネットに突き刺した。16日のJ2熊本との練習試合ではオウンゴールし、今季始動後の主力組での対外試合で唯一の失点を決めてしまっていた。「正真正銘の初ゴール。唯一『ジュビロから点を取った男』だったから良かった」。汚名返上弾にジョークを交えつつ、安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 高校まで生まれ育った鹿児島の地で、原点回帰していた。ここ鴨池陸上競技場は、高校レベルでは県大会ベスト4以上しか使用できない。鹿児島県サッカー協会関係者よると「鹿児島のサッカー選手にとっては、あこがれのピッチ」。かつて踏んだピッチで11日間のキャンプを行い「やっぱりなつかしい感じがする。原点回帰だね」と那須。かつての自分を思い出し、自らを奮い立たせていた。

 開幕戦(3月7日)で戦う山形のスカウティング部隊が視察に訪れたが、そんなことはお構いなし。攻守ともに持ち味を存分に発揮した。柳下監督も「セットプレーでの得点はリーグでも間違いなく必要になる。那須はジャンプが高くタイミングがいい。体全体にバネがある」と絶賛した。

 それでも那須に、満足する気配はない。「徐々に結果を残しながら、改善できるところは改善していきたい」。チームは今日から再び、地元磐田での練習を再開する。昨季残留争いを強いられた名門が、新加入の那須を中心に最後の仕上げにかかる。【栗田成芳】