G大阪西野朗監督(53)が世界一の野望に向けて、地獄トレを課した。宮崎・綾町合宿7日目の19日、2部練習を計4時間半。18日に練習試合を行い、20日にも横浜FC戦があるが、お構いなしで濃密なメニューを消化させた。今合宿では昨季のクラブW杯マンチェスターU戦のビデオを見せるなど「脳トレ」もばっちり。今季も最大60試合を戦い抜いて全6冠を獲得するため、頭も体も世界基準に仕上げていく。

 選手がヘトヘトになっても、西野監督は練習量を減らさなかった。「今年も厳しい道のりを乗り越えていかないといけないからね」。降りしきる雨の中で午前中に2時間半、午後には走り込みなどをみっちり2時間。18日に仙台、蔚山と戦ったばかりで、20日には横浜FC戦がある。通常は軽めのメニューで体調を整えるところだが、異例のハードメニューだった。

 世界一の野望があるからこその「特訓」だ。今季もACLで優勝し、クラブW杯に出場するという目標がある。全6冠獲得で最大60試合の過密日程を乗り切るため、合宿で体を作っておく必要がある。清水から移籍したDF高木は「午後の練習がなくなるんじゃないかというウワサはあったけど、たっぷりやりましたね」とアジア王者の地獄トレに驚いた。

 指揮官は既に世界を意識した「脳トレ」も実施している。遠藤ら代表組が合流した後の15日に、宿舎でマンチェスターU戦、天皇杯準々決勝名古屋戦のビデオを見せた。マンU戦は3得点を奪った後半、名古屋戦は極度の疲労の中で圧倒した前半を1時間に編集。「今季のベース(基本的な指針)をどう考えてほしいかということ。そこ(クラブW杯)に向かっていくしかないわけだから。疲労度が高い中で、これだけやれるんだというのを見てほしかった」と説明した。

 より強く、よりタフに。西野監督は「(マンU戦で)よく頑張ったと100万回言われたけど、何もうれしくない。でも、やれていることも(選手には)感じてほしい」と言った。心身をとことん鍛え抜けば、昨季以上の結果がついてくる。そう信じて、鬼軍曹になり続ける。【北村泰彦】