<ちばぎん杯:柏3-1千葉>◇22日◇柏

 「ガラスの天才」柏MF杉山浩太(24)が、千葉とのプレシーズンマッチ(ちばぎん杯)で再起した。ボランチとしてプロで初めてキャプテンマークを巻き、フル出場で攻守に活躍。後半14分には自陣から35メートルスルーパスを通し、3点目の起点になるなど、3-1勝利に貢献し、MVPを獲得した。

 「何よりもフルタイムを戦えたことがよかった」。杉山は守備力と展開力を武器に各年代の代表を経験したエリートだが、ぜんそくに苦しみ、プロ入り後は伸び悩んだ。体力が90分持たず、フル出場は清水時代の07年6月16日の横浜戦以来、617日ぶり。以前は試合終盤に息が上がるのを我慢してやっていたが、この日は「前半からふらふらでした」とジョークを飛ばすほど、余裕があった。

 昨年から肉体改造に着手し、改善に努めた。長年苦しんだぜんそくに真正面から向き合い、本格治療を始めた。同じ病気で苦しむスピードスケートの清水宏保から助言も受けた。さらに、精密検査で食物アレルギーが見つかり「本当に食べていいのは、10種類くらい」と食事療法にも取り組み、90分動ける体に生まれ変わった。

 新戦力アルセウが長期離脱しているだけに、杉山にかかる期待は大きい。この日のキャプテンマークは期待の表れ。肉体改造に取り組む天才が、長期スランプから脱出し、再び飛躍する日が近づいてきた。【盧載鎭】