西が石崎札幌“影のキーマン”としてレギュラー戦線に殴り込みをかける。コンサドーレ札幌はオフ明けの24日、熊本市内で午前午後の2部練習を行った。MFダニルソン、藤田ら主力7選手が相次いで離脱する中、開幕スタメン当落線上の西大伍(21)が、戦術練習でキレのある動きを披露。サイドバックからFWまでこなすプレーの幅を武器に、負傷者続出が予想されるハード日程突破の「切り札」として定位置確保を狙う。

 西が執念で開幕切符をたぐりよせる。この日の午後練習スタート時はDF趙、ら6選手が別メニュー。戦術練習中には、攻守の核となるMFクライトンも右内転筋を痛め早退した。フィールドプレーヤーがスタッフより1人少ない14人。紅白戦どころか、8対8の戦術練習さえできない。それでも西は冷静に「(ポジションは)どこでもいい。とにかく必要とされる選手になりたい」と黙々とアピールを繰り返した。

 J2最多51試合を乗り越えるために欠かせない存在だ。今季は、本来のボランチだけでなく左サイドバックにも挑戦中。開幕戦は上里、助っ人ダニルソンのダブルボランチが濃厚だが、この日のように、いつ負傷者が続出するか分からない。石崎監督は「けが人のこと?

 わしは知らん。トレーナーに聞いて」と受け流すが、シーズン中に同様のケースに起きることは十分想定される。

 そこで西がクローズアップされてくる。昨季、柏でも石崎監督は開幕直後にDF近藤ら複数の負傷者に悩まされた際、ボランチの大谷を左サイドバックに抜てき。センターバック鎌田のボランチ起用など、複数の位置をこなせる選手を育て対処した。ボランチの西がサイドバックもこなせれば、現在負傷中のDF趙が欠場でも、西嶋のセンターバック起用が可能になる。ダニルソン、上里との交代もできる。FWやサイドハーフとしての能力もあり、複数の組み合わせを生み出す「軸」となるわけだ。

 「サイドバックは新しい挑戦。面白い。チームが勝つために、いろんなところに入れないと生き残れない」と西。指揮官も「違うところもできるようにした方が発見がある」と西の奮闘を促す。少数精鋭27人の石崎札幌「陰の主役」の西は、まだ開幕スタメンをあきらめてはいない。【永野高輔】