モンテディオが「ホームの利」を奪われる-。J1山形の本拠地ゲームのスタンドが、相手カラーで埋め尽くされるピンチに陥っていることが8日、分かった。25日鹿島戦、5月9日新潟戦のチケット前売り状況が、アウェーサポーターに「完敗」だ。海保宣生理事長(67)は、クラブの公式ホームページで、山形サポーターに早期の購入を呼びかけている。

 前売りチケットの販売が伸び悩むクラブにすれば、アウェーサポーターであっても、観客が増えることは営業的にはうれしいはず。けれども「異様なホーム」で、モンテ戦士が力を発揮できるのだろうか-。そんな思いが、公式HP上での異例とも言えるクラブトップの言葉からうかがえる。

 「サポーター諸君へ!

 ホーム侵食の危機!?

 アウェイサポに負けるな!」。7日夜、このようなタイトルで海保理事長がメッセージを発信した。内容は、鹿島戦、新潟戦の前売りの購買者が、ほとんどアウェー側で、地元サポーターに観戦を呼びかけるというもの。新潟戦にいたっては、6日現在の売り上げ状況が、シーズンチケットを除いて、約96%がアウェー側だ。

 リーグ4位と好調で、かつJ1初年度なら、地元の観客動員はもっと増えていいはず。県内各地での「募金の輪」は広がっている。地域の関心は確実にある。あとはいかにPR、営業努力をできるかがカギ。小林監督も「スタジアムに来てくれた人を、プレーの質やメンタルを見せて引きつけるサッカーを見せたいけど、まずは足を運んでもらわんとね」と、フロントに期待だ。

 観戦の楽しみ方、あるいは楽しめるソフトをクラブが考えないと「長期的なサポーターの卵」となりえる、新規観客も増えない。「ヨーロッパのように、1日をサッカーで楽しめるように、イベントとかあるのもいいかな」と同監督。J1定着には、現場だけでなく、フロントも一緒に「戦う」必要がある。【山崎安昭】