“ダブルフリーマン制”に活路を見いだす。14日にホーム徳島戦を控えるコンサドーレ札幌は11日、札幌ドームサブグラウンドで紅白戦を行った。石崎信弘監監督(51)は攻撃の起点となるFW宮沢裕樹(19)に、あえてポジショニングを固定せず自由に動くよう指示。ボランチの上里一将(23)も宮沢と交互に前線に入るなど、キーマン2人を臨機応変に動かす変幻自在のシステムでクライトン(31)ダニルソン(22)の両助っ人不在を乗り切る。

 “宮里”コンビが徳島討のカギを握る。石崎監督はこの日の練習後、「(宮沢)裕樹のポジショニングは、任せている」と宮沢を自由にプレーさせていることを示唆。紅白戦では2トップのコンビを組むFWキリノ1人を前線に張らせ、宮沢はトップ下から、DFラインの前まで頻繁に動き回るなど自在な位置取りで攻撃の起点となった。

 宮沢が中盤の底でボールをキープした瞬間、今度はボランチの上里がキリノと並ぶFWの位置まで上がりゴールチャンスをうかがう。「(宮沢)裕樹とはお互い自由にポジションを変われるように話している」と上里。クライトン不在を乗り切るため、若きテクニシャン2人の前後関係を状況に応じて流動的に入れ替えて、攻撃の幅を広げる。

 前節鳥栖戦では宮沢が5戦ぶりにFWとして出場。だが、相手DF陣の厳しいマークを受けシュートはわずか1本だった。宮沢は「鳥栖戦はパスは出せたけど、自分で持ち込むシーンが少なかった」と振り返る。今回も前節同様、宮沢のFW起用が濃厚だが、左右両サイドでも、ボランチの位置でも、とにかく空いたスペースに自由に動いてパスを受け、相手に抑えどころを絞らせない。

 さらにミドルレンジからの強烈なシュートを武器とする上里が、宮沢と交互に前線に顔を出すことで、相手DFラインを引きずり出すことも可能となる。札幌のホームゲームだけに相手のDF陣は下がり目になることが想定される。上里の左足でおびき出して、中盤まで下がっていた宮沢がゴール前のスペースに抜け出すというパターンへと応用もできるというわけだ。

 宮沢は「後ろのバランスは(上里)カズ君が見てくれるから自由にやらせてもらっている」と言えば、上里も「下がっても上がっても、お互いバランスをとりながらやろうと思っている」と、2人の関係に問題はない。ショートパスの宮沢、ロングパスの上里2人による連動したポジションチェンジで、札幌の攻撃に新たな彩りを加える。【永野高輔】