<J1:磐田1-0広島>◇第16節◇5日◇広島ビ

 J1磐田が広島を1-0で破り、3試合ぶりの勝利を収めた。前半16分に、DF加賀健一(25)の右クロスをFW前田遼一(27)が頭で合わせ先制。その1点を90分間守り切った。終盤には、柳下正明監督(49)が相手選手と言い合うなど戦う姿勢を見せた。リーグ再開後、白星のなかったチームは、退団した韓国代表FWイ・グノ(24)不在での白星も初めて。守備陣も踏ん張り7試合ぶりの完封勝利で、再スタートを切った。

 柳下監督が猛然と、広島DFストヤノフに突っかかった。後半42分、タッチライン際でベンチを飛びだしていた指揮官と、ストヤノフとがわずかに接触。普段は冷静沈着な49歳の指揮官は、顔色を変えながら右手を振り上げた。屈強な外国人DFに向かって叫ぶ闘将を見たピッチ上の選手らは、想定外の“バトル”に一気に白熱。終了間際、広島攻撃陣の怒とうの反撃を耐え忍んだ。

 柳下監督

 選手のプレーを見ていたら、みんなで今日は戦っているんだと思って。そんなに興奮はしていないけど、一応やっておかないとね。選手も戦っているのだから。

 だが、ハートは熱く頭は冷静だった。1点リードのまま迎えた試合終盤、指揮官が選んだ戦法は「守」だった。後半37分にMF上田に代えて、今季初出場のDF鈴木を投入。「最後相手はサイドも上がって4-1-5になった。那須とヒデ(鈴木)で、中央の柏木と高柳をマークしてほしかった」。5トップで猛然とゴールに襲いかかる広島攻撃陣に対し、後半だけで12本のシュートを浴びたが、GK川口のスーパーセーブもあって無失点。「選手みんなが粘り強く最後まで体を張って、十分やってくれた」と振り返った。

 7試合ぶりの完封で、FWイ・グノ不在時では初の白星となった。順位も1つ上げて12位。助っ人だけに頼らず、チームで勝ち取った大きな1勝だ。それでも指揮官は「厳しい試合はまだまだ続く」と、勝ってかぶとの緒を締めた。【栗田成芳】