<J1:清水1-0浦和>◇第20節◇2日◇埼玉

 王座奪回への道がかすみ始めた浦和が、シーズン後半戦での巻き返しへ緊急補強に乗り出す可能性が出てきた。ホームで清水に0-1で敗れ、ナビスコ杯を含む公式戦4試合連続の完封負けで4位に後退した。7月15日の同杯準々決勝清水戦第1戦以来、計390分間ノーゴール、最近4試合で8失点と攻守両面で不振。信藤健仁チームダイレクター(TD=48)は、リーグ中断明け(15日)の再浮上へ、他クラブからの戦力補強も辞さない考えを示した。

 落胆の思いを胸に押しとどめ、健闘の拍手を送った4万5000人のサポーターを直視できなかった。ナビスコ杯準々決勝で立ちはだかった清水にリベンジを期したはずの一戦で、公式戦4試合連続の完封負け。沈痛な面持ちでうつむき、ピッチを後にする選手たちを目の当たりにし、クラブ首脳も覚悟を決めた。信藤TDは「クラブとしても考えなければいけない。フィンケ監督と相談して(戦力補強に)動く」と明言した。

 従来の大型補強を控え、若手を含めた既存の戦力で、パスサッカーへスタイルを変えた今季。だが、体力の消耗が激しい夏場を迎えて、生命線の運動量が低下したうえ、田中達や闘莉王ら主力に故障者が絶えない。この日はGKを山岸から都築へ戻し、右太もも痛で長期離脱していたMF平川を約4カ月ぶりにスタメン起用したが、特効薬にはならなかった。7月15日の同杯準々決勝第1戦で後半15分にエジミウソンが得点を決めて以降、390分間無得点。日替わりメンバーに近い守備陣も連係を欠いて、4試合で8失点。「6週間前ならば、今日のような試合で1、2点決められる状態の選手がいた」というフィンケ監督の言葉が、苦しい現状を物語った。

 ただ、手をこまねいているわけにはいかない。首位鹿島との勝ち点差は今季最大タイの「10」。これ以上の連敗は、許されない。Jリーグ規約により、他クラブからの戦力補強が可能なのは今月28日まで。時間は少ないが、橋本社長も「フィンケ監督と信藤TDで話し合い、必要だと判断すれば、クラブとしてもバックアップする」という。

 J1リーグ戦は、15日のG大阪戦(万博)まで2週間、中断期に入る。浦和は3日から全選手を対象にメディカルチェックを行い、選手の筋力測定データをもとに強化ポイントを洗い出す予定。2年連続無冠回避へ、全力を尽くすしかない。【山下健二郎】