手負いのエースが、モンテディオを勝利に導く。9月26日の千葉戦で、右足首をねんざしたJ1山形FW長谷川悠(22)が、3日の大分戦に先発で強行出場する。患部に痛みは残るが、2日の最終調整でフルメニューを消化。小林監督も、長谷川の動きに太鼓判を押した。残り7試合のJ1残留争いを、エースの意地で乗り切る。

 故障を感じさせない軽快な動きだった。患部をテーピングで固め、ぎこちないボールタッチをしていた前日とは別人のように、長谷川は軽やかにボール回しで汗を流す。スペースへダッシュしても、速いパスを受けても、痛がるそぶりはない。報道陣に公開された20分間の動きは、いつもの長谷川だった。

 非公開でのセットプレー確認を終えた後、小林監督が長谷川の状態を説明した。「セットでヘディングを決めてた。全部(練習を)した。ただ痛みがあるから(先発を)どうするか…」と、はぐらかす。だが、全体練習後に細かいステップなどを長谷川に踏ませて、自ら最終チェックし、大分戦での起用を決めた。

 故障後「腫れと、むくみがある」と話していた長谷川だが、この日はそのどちらも引いた。もともと痛みに強く、回復に自信を持っているエース。「出られるなら出たい」と、残留を左右する大一番への強行出場を望んでいた。「シュートの時、力まない方が結果がいい」と口癖のように話すエース。大分戦を乗り切れば、11日の天皇杯を欠場してケアもできる―。痛みを感じさせない全力プレーで、勝利をサポーターに届ける。【山崎安昭】