<J1:新潟1-0鹿島>◇第28節◇4日◇カシマ

 史上初の3連覇を狙う鹿島が新潟に0-1と敗れ、3年ぶりのリーグ戦4連敗で首位から陥落した。前半28分に先制点を奪われると、懸命の反撃も実らずに完封負け。一時は2位に勝ち点10差をつけて独走していたが、後半戦に突入後に失速し、5カ月ぶりに首位を明け渡した。前日の引き分けで勝ち点50とした清水が得失点差で10年ぶりに首位に浮上した。G大阪は4-1と大宮に大勝し、川崎Fは2-0と横浜に完勝。首位清水から勝ち点5の間に6チームがひしめく大混戦となった。

 「定位置」となっていた首位から、ついに陥落した。試合終了の笛が鳴り響くと、DF新井場がぼう然と立ち尽くし、主将のMF小笠原は肩を落とした。「周りは王者というけど、勝つのは難しい。どうこういうより、今は勝ち点3が必要」。そんなDF内田の言葉が泥沼状態を表していた。

 不振を象徴する敗戦だ。前半28分にMFマルシオ・リシャルデスに豪快なボレーシュートを決められた。新潟より好機をつくったが、相手GKの好守に阻まれ、逆に一瞬のスキを突かれて中断の9月12日の川崎F戦を含め、5試合連続で先制された。DF岩政は「点を取れずに失点してしまう。勝てないチームの現状」と厳しい表情を浮かべた。

 1-4と惨敗した名古屋戦から7日間、この日のために準備を整えた。9月29日の決起集会では、試合に出場していない若手が「出ている人はプライドを持って戦ってほしい」と強い口調で訴え、主力組の心を刺激した。だが、過去の3試合より内容は向上したものの勝利につながらず、GK曽ケ端は「内容とかじゃなくて、今は結果が欲しい」と切実な思いを口にした。

 好調時にはあった揺るぎない自信が、回復できていない。DF内田は「力が入っている。負けられない、ミスできないって感じになっている。勢いがちょっとね」と話すなど、苦境に強いはずの王者が、強じんな精神力を欠いている。

 7日には1-3の状況で後半29分1秒から再開される川崎F戦が控える。負ければ99年の8連敗以来の5連敗以上、「聖地」カシマスタジアムでは史上2度目の3連敗となる。DF岩政は「僕たちには可能性も希望もある」と前を向いた。5カ月ぶりの首位陥落で、試合後には一部サポーターが関係者エリアに侵入。クラブ関係者ともみ合いになるトラブルも発生。この悪循環から自力で抜け出す以外に3連覇への道はない。【菅家大輔】