<J2:仙台3-2富山>◇第43節◇4日◇富山

 トンネルを抜けた男たちの活躍で、仙台が富山に3-2で逆転勝ちした。前半8分、MF梁勇基(27)がシーズン自己最多の今季14点目となる、9試合ぶりのゴールで先制。2-2の後半38分には、富山県出身のFW中島裕希(25)が途中出場で決勝弾。20戦、102日ぶりの今季5点目で勝利に導き、首位C大阪との勝ち点差を2に縮めた。

 途中出場から4分後、FW中島が故郷で呪縛(じゅばく)を解いた。MF関口のスルーパスで抜け出し、右足でGKの左脇を射抜く決勝ゴール。6月24日の栃木戦以来、102日も遠ざかったネットを揺らす感覚に「興奮して何も覚えていないんすよ」と中島。地元ファンが待つ応援席に駆け寄り、血管を浮き上がらせて何度も叫んだ。今季5点目。すべて決勝弾だ。

 長いトンネルを抜けた。前節まで19戦連続ノーゴール。9月27日の熊本戦では勝利の中で1人、ブーイングを浴びた。母明美さん(46)が「プロ入り後、最も元気がなかった」と心配する状態だったが、手倉森監督から「あのまま外しても裕希は復調しない」と起用され、結果を出した。

 無得点の間、明美さんから「開運効果がある」と勧められた鶏肉を食べたり、スパイクを新調したり、ブログを始めたり、と環境を変えようと必死だったが、地元の声援が何よりの力になった。中島は「今日は特別なゴール。恩返しできて良かった」と感謝した。

 主将も壁を破った。前半8分に「年に1回あるかないか」と自画自賛するミドル弾で自己新の14点目をマーク。8月16日の徳島戦を最後に、今季ワーストの8戦連続ノーゴールだったが「外し続けていた分、1点がうれしい」と梁。今季の富山戦は全3戦で得点し「同一カード完全制覇」も達成。地元大阪から駆けつけた友人に勇姿を見せた。

 苦しんでいた男たちの復活弾で、首位C大阪と勝ち点2差に再接近。中島は「残り8戦。昇格、優勝を狙うチームに今から貢献します」と復活を宣言した。【木下淳】