J2札幌のFW宮沢裕樹(20)が、敬愛するストライカー岡野雅行(37)との初対戦に意欲を見せた。11日、天皇杯2回戦でJFLの鳥取と対戦する。今季から鳥取に加入した元日本代表FW岡野は、宮沢がプロ選手を夢見るきっかけとなった97年「ジョホールバルの歓喜」を演出したあこがれの存在になる。次代の日本代表候補が英雄との直接対決で、9試合ぶりのゴールを狙いにいく。

 あこがれの野人との初対戦を前にし、宮沢は気持ちを高ぶらせた。「岡野さんと対戦できるのは楽しみ。テレビの中の存在だと思っていた。まさか実際に対戦できるとは思っていなかったので」。17歳上のベテランストライカーとの激突を心待ちにした。

 宮沢がプロを目指すきっかけとなったのが、97年「ジョホールバルの歓喜」だった。当時8歳だったサッカー少年は、眠い目をこすりながら、1人夜更かししてテレビにかじりついた。「あの瞬間、日本の選手も大きな舞台で戦えるんだという実感を持った。サッカー選手になりたいと思った」。いつにない熱い口調でそう振り返った。

 その主役を張った岡野の姿は、強烈に脳裏に焼き付いている。「自分とタイプは違いますが、あんなにインパクトのある選手はいない。個性的でプロらしい人」と印象を口にする。足元でのキープ力やショートパスでのチャンスメークが武器の自身と、スピードを前面に押し出して泥臭くゴールを狙う岡野は、スタイル的には正反対といえる。しかしテクニックに頼ることなく、鬼気迫る表情でボールを追う姿勢は、同じサッカー選手として取り入れるべきものと教材にしている。

 7日のC大阪戦では無得点に終わり、チームも5試合ぶりの敗戦。次節にもJ1昇格の可能性が消滅する状況となった。FWとして8戦無得点という結果に、責任を痛感している。「とにかく得点に絡む仕事をして、勝つことに集中したい」。あこがれの人の前で9試合ぶりの1発を決め、リーグ戦への弾みをつけにいく。【永野高輔】