<J1:東京4-0柏>◇第29節◇17日◇味スタ

 東京の日本代表MF石川直宏(28)がゴール直後に左ひざを負傷し、長期離脱する可能性が高まった。3-0で迎えた後半24分、右足ダイレクト弾で今季得点ランクトップタイの15得点目を決めたが、その直後の着地で同部を痛めて途中交代。半月板や靱帯(じんたい)損傷の疑いがあり、19日の検査結果次第では、来年のW杯代表生き残りに影響を及ぼしそうだ。

 今季15得点目を奪った石川の身に、予想外のアクシデントが待っていた。後半24分、MF羽生からの縦パスにタイミング良く反応すると、一気に敵ゴール前へ。右足ダイレクトで合わせた浮き球シュートで3戦連発を決めた。その直後だ。着地の際、内側に強く曲げた左ひざの上に相手DFが落ちてきた。右手でピッチを何度もたたくほどの激痛で、そのまま担架で運ばれて途中交代を余儀なくされた。

 試合後の石川は報道陣に無言ながらも笑みをみせてスタジアムを離れた。控室では心配するチームメートに「大丈夫だから」と気丈に振る舞った。歩行に松葉づえは使わなかったが、ジャージーで隠された患部はギプスで固定。患部が腫れ上がり、担当医も判断できない状態だという。城福監督は「1日、2日で戻ってくるような状況ではないことは確か。重傷でないことを祈るばかり」と神妙な表情で話した。

 アシストしたMF羽生は「4点目が必要だったのかどうか…。試合が終わってみると何とも言えない感じです」と石川を気遣った。視察に訪れた日本代表の岡田監督も石川の故障具合に深刻顔だった。今月の代表戦に、同監督指揮下では初めて招集。常に得点に絡もうとする姿勢を評価していただけに「心配だけど、とにかく報告を待つだけ」と話した。

 石川はジーコ元監督時代にも若手のホープとして代表入りしたが、05年9月に右ひざに重傷を負い、06年ドイツW杯の道を閉ざされている。精密検査は19日に行われる予定だが、半月板やじん帯を損傷している可能性は高い。検査結果次第では25日清水戦以降のJリーグ、ナビスコ杯を欠場するだけでは話が済まない。11月には大事な南アフリカ遠征も控えている。岡田ジャパンにとって貴重な新戦力だけに、憂慮すべき事態に陥る恐れが出てきた。【藤中栄二】