<J2:仙台1-0札幌>◇第47節◇25日◇ユアスタ

 2位仙台が札幌を1-0で下し、7シーズンぶりのJ1復帰に「王手」をかけた。後半21分にFW中原貴之(24)が奪った、9試合ぶりの今季10点目が決勝弾。手倉森誠監督(41)は恩師の札幌・石崎監督に勝利で報い、チームはJ2リーグ1位タイのホーム21戦連続不敗を達成。早ければ、次節11月8日のアウェー水戸戦で3位以内が確定し、昇格が決まる。

 スーパーサブが息を吹き返した。途中出場から6分後、MF梁の芸術的パスがMF関口を経由してゴール前へ。低弾道のクロスに背番号9は「頭」を使わず、右足を伸ばす。「相手DFラインの間を狙っていた。練習通り」。FW平瀬が戦列を離れ、前節まで4戦3発のFW中島も不発。そこに現れ、9戦ぶりの得点でチームを救った中原は「同じFWとして、平瀬さんが抜けて『攻撃の形が作れない』とか言われたくなかった」と意地を見せた。

 試合前、中原は仙台の得点記録を頭にインプットした。「4選手が年間10得点に到達すればベガルタ史上初」。そのことを中島に伝え「(8得点の)平瀬さんが離脱したから、9点のオレと7点の(中島)裕希で決めよう」と持ち掛けた。早速、約束を守る今季10点目に「負けたくないって意識し合えば、いい効果が出る」と笑みをこぼした。

 手倉森監督は、恩返しの勝利を挙げた。現役時代の95年。当時のNEC山形の指揮官が札幌の石崎監督で「引退して指導者になれ」と勧められた。当時28歳の手倉森監督は迷ったが、石崎監督から「今からコーチを経験すれば(磐田FW)中山雅史たち同年代よりも早く、優秀な指導者になれる」と説得された。「あの言葉がなければ今の立場はない」と手倉森監督。恩師に成長した姿を見せ、J1復帰へ弾みをつけた。

 いよいよ昇格モードだ。早ければ、次節11月8日のアウェー水戸戦に勝ち、3位甲府と4位湘南が引き分け以下に終われば、3位以内が確定。MF梁は「ほかは気にしない。残り4戦に勝つだけ」と自然体だが、悲願成就が、すぐそこに迫ってきた。【木下淳】