<J2:C大阪5-0草津>◇第48節◇8日◇長居

 首位C大阪が4季ぶりにJ1復帰を決めた。ホームで草津に快勝。今季、大きく成長した2人の若きストライカーが躍動した。MF乾貴士(21)が自身の記録に並ぶJ2最多タイの1試合4ゴールをマーク。右足小指の痛みを抱えるMF香川真司(20)も途中出場し、鋭いドリブルで次々とチャンスをつくった。

 この瞬間をどれほど待ちこがれたことか。選手たちは、桜色に染まった長居で心から笑うことができた。その輪の中心にいたのは香川と乾の両エースだった。「本当にありがとうございます」と乾は絶叫。香川も「この時のためだけにずっと練習してきた。素直にうれしい」と心の底から喜んだ。

 節目の試合で大爆発したのは乾だった。前半1分、MF酒本のパスに抜け出して軽々と先制点を奪う。そして、後半には3ゴール。5月23日の福岡戦(長居)に続いて今季2度目の1試合4ゴール。「いつも、真司が決めて悔しい思いをしていた。今日は本当に良かった」と大一番での主役に会心の笑顔だった。

 同学年の香川と乾は、プライベートで一緒に行動することは、ほとんどない。お互いの才能を認めるからこそ、猛烈に意識し合っている。「乾がゴールを決めれば、ちょっと悔しいんです」と香川。乾も「横浜からC大阪へ移籍する時には『真司の控えで考えている』と言われた。本当に負けたくない」と言う。27得点で現在得点王の香川に対し、乾もこの日20得点の大台に乗せた。2人の切磋琢磨(せっさたくま)が、J1復帰の原動力となった。

 続投濃厚のレビークルピ監督は「来季の話はまだしない。まだ試合が残っている。タイトルの可能性がある」と話した。藤田信良社長(59)は「今季の広島みたいに躍進したい」。まずはJ2で優勝し、来季へ弾みをつけたい。【奈島宏樹】