中山チルドレンが恩返しをする。今季限りでの磐田退団が決まっているFW中山雅史(42)の後輩らが11日、1試合でも多く磐田でプレーしてもらうことを願った。藤枝東から磐田に入団したMF成岡翔(24)DF大井健太郎(24)と、高校&大学(筑波大)の後輩にあたるMF岡田隆(24)。さらに、同じFWとしてストライカーにまで成長した前田遼一(28)ら4人が、尊敬する大先輩に成長ぶりを見せつけ、最大のエールにする。

 先頭切って走る「中山隊長」に、みんなが続いた。中山の今季限りでの退団発表から一夜明けたこの日、15日の天皇杯4回戦名古屋戦(瑞穂陸)へのメンバー入りを目指しフィジカル練習に取り組む中山の姿を、全員が追いかけた。10番を背負う成岡は「少しでも長く一緒にプレーできるように、次は勝たないといけない」。偉大な先輩に花道をつくる決意の表れだった。

 「プロとしてサッカーに対する姿勢を学んだ」。練習後のテレビ取材を受けた後輩らは、そう口をそろえた。練習前後の体のケアをはじめ、常に全力で取り組む姿勢。華々しい数々の記録の裏側に隠された、血のにじむような努力を間近で見てきた。藤枝東の後輩にあたる大井は「体を張って教えてくれた。先生のような存在だった」と話した。

 “直属”の後輩だからこそ、受けた恩も大きい。大井は「磐田に入る前から、よくしてもらった。公私においてお世話になった。来年以降もこの関係が崩れることはないと思う」。今年7月に結婚した際には、タイの尾頭付きをごちそうになったという。筑波大の後輩でもある岡田は「選手としても人としても影響を受けた」と恩を感じている。

 リーグ戦は残り3試合だが、天皇杯を勝ち上がった分だけシーズンも延びる。FWとして中山を目標にしてきた前田は「気持ちの部分やFWとしての動き方を学んだ。1試合でも長くやりたい」。中山のために、チルドレンが1つになる。【栗田成芳】