<天皇杯:G大阪3-1鳥栖>◇14日◇4回戦◇広島ビ

 勝っても、ダメ出し!

 天皇杯2連覇を狙うG大阪がJ2鳥栖に快勝し、8強に進出した。だが、西野朗監督(54)は「ガンバのリズムではなかった。中盤のプレスがかからなかった」と厳しく指摘。日本代表の南アフリカ遠征で欠場した大黒柱のMF遠藤保仁(29)不在時は、今季3勝2敗。今回も不安を埋め切れず、指揮官はいら立ちを隠せなかった。

 3-1の快勝にも、西野監督に笑顔はなかった。天皇杯2連覇へ、リーグ逆転優勝へ、弾みをつける試合となるはずだったが、不満しか残らなかった。「連動性というか、厳しいプレスが足りない。結果としては勝ったが、次につながる試合という意味ではどうかな」と淡々とダメ出しを続けた。

 後半2分に中盤のマークが遅れ、左クロスから194センチのハーフナーにあっさり決められた。特に遠藤不在の穴を埋め切れなかった中盤について「佐々木の圧力も物足りない。(後半から中盤に下がった)ルーカスも瞬間的にボールを取りに行こうとはしているが、全体として連動できていない」とばっさり切った。

 MF橋本も失点シーンを反省する。「自分がマークに行くのが遅れたのは確か。ハーフナーの高さを警戒していたが、左足で決められた。崩されている証拠」と分析。ゲーム主将のDF山口も「中盤だけの問題ではない。先制点を奪ってから、チーム全体で勢いが止まってしまった」と厳しい表情で言った。

 だが、内容が悪い中でもしっかり勝ったことも事実だ。西野監督にはチームに危機感を与え、士気を高める狙いもあるのだろう。「今日は辛口になってしまった。みんなの意識をもっと高い次元でとらえてほしいから」。ただ勝つだけが、G大阪ではない。遠藤がいなくても、相手を圧倒して勝つ。来季も続投濃厚の指揮官はあくまで高い目標を立て、天皇杯とリーグ優勝の2冠を狙っていく。【奈島宏樹】