鹿島、川崎F、G大阪の3強が優勝争いを繰り広げ、残り2試合となったJ1は28日、第33節を開催する。史上初のリーグ3連覇を狙う首位鹿島はホームで3位G大阪と対戦。G大阪に勝ち、川崎Fがドロー以下だと優勝が決まる。日本屈指の攻撃力を誇るG大阪に対し、「急がば回させろ」の精神で強引にボールを奪いにいく守備ではなく、パスを回させるだけ回させ要所を締める作戦で快挙達成を目指す。

 慌てず、焦らず。王者鹿島が「急がば回させろ」の精神でG大阪攻撃陣を封じ、史上初のリーグ3連覇へ前進する。この日はセットプレーの確認など、軽い調整で終了。心地よい緊張感が漂う中、主将のMF小笠原は「いつも通りやるだけ」と不動心を貫いた。

 数々の激戦を繰り広げてきたG大阪の特徴は把握している。MF本山は「パスを回される時間が多くなるだろうから、回されるのは仕方ないと割り切って最後をつぶせばいい」と断言。MF中田も「パスを回されても慌てないことが大事だと思う」と強調した。

 本来、鹿島の守備の特徴は積極的なプレッシングにある。だが、G大阪はMF遠藤、二川、明神など中盤に実力者をそろえるだけに、劣勢を強いられる時間帯も増える。そこで慌ててボールを奪いにいけば、軽くいなされ相手の思うつぼ。だから、冷静にパスを見極め「ここぞというところをつぶす」(本山)作戦だ。

 その中で、G大阪の攻撃封じの鍵となるのがMF中田だ。「G大阪は知り合いが多いので楽しみ。やりにくさはない」と話すように、代表でともに戦った遠藤などの手の内はお見通し。世の中で予算を削減する「仕分け人」が話題だが、決戦の舞台で中田がG大阪の攻撃力を削減させる「仕分け人」になるはずだ。

 3連覇達成は自身の勝利に加え、川崎Fの結果に左右されるだけに本山は「優勝はまだ決まらない。最終節もある」と冷静そのもの。精神面も安定し、策も万端。あとは白星をつかみ、歓喜の瞬間を待つだけだ。【菅家大輔】