ゴン中山は大事な得点源じゃ!

 コンサドーレ札幌の石崎信弘監督(51)が15日、新加入の元日本代表FW中山雅史(42)を集客の切り札ではなく、貴重な戦力として考えていることを強調した。この日、道庁と札幌市役所を表敬訪問した同監督は、先発起用も示唆するなどベテランFWに高い評価を与えた。クラブは高い知名度を生かした営業効果も見込んでいるが、指揮官はストライカー中山の能力に大きな期待を寄せた。

 ゴンに求めるのは人気じゃない。得点じゃ。石崎監督が「ゴールハンター中山」への期待を口にした。15日、来札した指揮官は、中山に求めることについて聞かれると即座に「そりゃ、点を取ることじゃ」と切り返した。営業効果や集客ではない。石さんが求めるのは、FWとしての得点感覚そのものだった。

 全盛期同様のプレーはできなくても、感覚と闘志で十分に戦力になると踏み、ゴン獲得に賛同した。クラブは中山加入によるチケット販売、スポンサー獲得など波及効果も期待しているが、現場のボスは違う。「最初から42歳として考えたら失礼。PRも大事だが1選手として考えている」と強調した。

 オフの間は全25人の戦力を分析し、開幕へむけシミュレーションも練った。重点補強したFWについては「キリノ、近藤が中心か。内村はサイドハーフもできるので、うまく組み合わせながら」と2トップ構想を描いていることを明かした。スーパーサブ的起用が濃厚な中山だが、グアムキャンプでのアピール次第で「先発でいってもらうという場合もある」とスタメン候補に入れていることも明かした。

 12月24日の入団会見で、中山から「若手といっしょに鍛えてほしい」と懇願されたことも、しっかり心にとめた。「(若手と)同じメニューをやりたければやればいい。ただケガだけはしてほしくない。本人やフィジカルコーチと相談しながらバランスをとってあげたい」。意思を尊重しながらも、より高いパフォーマンスを出せる環境を整えようと配慮する構えでいる。

 昨年末に関東で行われたフットサルイベントで対面した際、得点した中山が猛然と駆け寄ってきた。「引き込まれて一緒に手を挙げ喜んでしまったよ」と笑った。中山が積み上げてきたJリーグ連続得点は、16年目の昨季止まったが、未知のパワーは健在だ。復活を信じる石さんの後押しを受け、ゴンゴール伝説を札幌で再スタートさせる。【永野高輔】