今季J2で再出発する大分が20日、大分・別府市の八幡竈門(かまど)神社で必勝祈願を行った。皇甫官監督(44)の願いは「J1昇格」よりも「けが人ゼロ」。今季は経営難のあおりで大型補強ができず、現在のトップチーム所属選手は22人しかいない。GK3人を除くと、フィールドプレーヤーだけでの紅白戦も組めない状態で、シーズン途中に緊急補強ができる潤沢な獲得資金もない。けがは「最大の敵」という訳だ。

 それだけではない。けが人続出で戦力が整わず、J2降格した昨季の二の舞いを避ける意味もあった。19日に懸案事項だったJリーグの追加融資2億5000万円が承認され、クラブの倒産危機はひとまず脱したばかりだが、悩みの種は尽きそうにない。

 指揮官は「けがはつきものだが、選手が少ないので、選手にけが人が出ないことを願った。22人では全然足りない」と険しい表情、J2では今季からベンチ入りの選手が昨季の16人から18人に増える。しかし、皇甫監督は「選択のしようもない」と厳しい表情。戦力層の薄い大分にとっては、相手に有利に働くデメリットでしかない。

 右足首の炎症で別メニュー調整中のFW高松も「けがなく1年戦いたい」と話しており、クラブ経営だけでなく選手の「危機管理」も問われそうだ。【菊川光一】