【グアム1日=永野高輔】札幌が新公式球の特長を生かし、ミドル砲大作戦を敢行する。コンサドーレ札幌グアムキャンプ13日目、ミニゲームでは20~25メートルのシュートを意識して放った。使用している新公式球は、ボールの速度が上がり、操作性にも優れるといわれる。利点を生かすため、石崎信弘監督(51)も2列目やボランチからのミドルシュートを要求した。新ボールの特性を生かした攻撃で、得点力を上げていく。

 札幌が新球の特性を最大限に生かす。この日の午前に行われたミニゲーム、FW上原が左サイドから右足で放ったシュートが、軽いカーブを描きながらゴール右上へ吸い込まれた。続いてDF西嶋が右サイドの角度のないところから右足を振り切ると、今度は一直線にゴール左上へと突き刺さった。

 いずれもゴールから25メートル前後離れた位置からのミドルシュート。両選手の得意な角度とはいえ、速度を維持したままゴールネットまで到達した力強い弾道に、チームメートからもうなり声が上がった。

 今季から導入されるアディダス社の新公式球「ジャブラニ」について、GK高原は「速くて伸びてくる」と昨季との違いを口にする。主観だけでない。同社担当者も「変化をかければ思った通りにかかるし、真っすぐ打てば真っすぐ進む。選手のイメージ通り飛ぶのが特長」と特性を説明する。縫い目が少なく球体に近いことで軌道が安定。球速アップにつながる可能性をも秘めているという。

 GKには不利だが、攻撃陣としては、この特性を生かすほかはない。昨季はFWキリノの19得点がトップで、2位はMF西(現新潟)の7点。中盤の得点力不足が課題となるだけに、石崎監督は「離れた位置からのシュートも大事。2列目あるいはボランチの点が増えないと」と要求を出した。“ハイテクボール”を生かした積極的なミドル砲作戦で、エース頼みからの脱却を図りにいく。

 昨季は3得点に終わったMF藤田も「ボールが伸びるのは有利。どんどんシュートを打っていきたい」と自覚は十分。札幌が新ボールさえも味方につけ、昇格プランを練っていく。