J1清水の鹿児島キャンプが8日、鹿児島市内のふれあいスポーツランドでスタートした。決定を見送っていた今季の主将は長谷川体制では初となる選手による“選挙”を行い、過半数を上回ったMF兵働昭弘(27)の続投が決定。早速「選手と監督の橋渡し役になる」と約束した。

 選手たちによる、選手たちのための、主将が決まった。鹿児島入りした7日の全体ミーティングの最後に選手だけの時間が与えられた。「『代表者を選ぶんだから真剣にやってください』とだけ伝えて、選手だけでミーティングをさせた」。長谷川監督は、就任から5年間指名制だった「主将決定」を、選手たちにゆだねた。

 用紙に候補者を記入し無記名投票で行われた主将選挙の結果、兵働が半数以上の票を集めた。2年目を迎えた主将は「もっと、いろんな選手と話して、監督に伝えたりしないといけない。去年はそれが、できなかった」と、早速昨年を反省した。長谷川監督も「兵働といろいろ話しをしながら、風通しのいいチームづくりをしていきたい」とした。

 長谷川体制で初めて行われた「主将選」で、監督が選手に歩み寄った。一方でリーダーを選ばせることで、チーム作りの責任感を選手たちにも芽生えさせるきっかけになった。一丸とならない限り、悲願達成はあり得ない。指揮官の決意がはっきり見える機会になった。

 人望を集める兵働自身も1プレーヤーとしての危機感がある。小野の加入や杉山の復帰でMFのレギュラー争いは例年以上に厳しさを増す。1月30日の静岡産大との練習試合後に体調を崩し、約1週間離脱。この日、ようやく全体練習に合流した。「まずは試合ができる体調にすること。ゴールとかアシストとか、数字にこだわってやっていきたい」と個人の目標に続き、声を大にした。「優勝してカップを掲げたい」。選手代表、兵働昭弘が宣誓した。【為田聡史】